GaN半導体の中国大手「イノサイエンス」が香港上場へ 多額の赤字や訴訟、米中問題などのリスクも

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窒化ガリウム(GaN)半導体の中国大手「英諾賽科(InnoScience 、イノサイエンス)」(全称、英諾賽科(蘇州)科技)がこのほど、香港証券取引所への上場に向け、目論見書を提出した。上場で調達した資金の半分を8インチGaNウエハーの生産能力拡大に充て、今後5年間で月産を2023年の1万枚から7万枚に拡大する計画だという。

イノサイエンスは15年に設立され、シリコン基板上にGaN結晶を成長させる「GaN on Silicon」技術を利用した第3世代半導体の開発と商用化に注力している。現在は、GaN半導体の設計と製造を一貫して手がける世界最大規模のIDM企業となっている。江蘇省蘇州市と広東省珠海市に工場を設けるほか、米シリコンバレーや韓国のソウル、ベルギーなどに子会社を設立している。中国やアジア各国、欧州、北米などに100社以上の顧客を抱えており、23年は海外事業の売上高が約5800万元(約13億円)と全体の約1割を占めた。

目論見書によると、23年のGaNディスクリート素子の累計出荷数は世界最多の約5億個で、市場シェア42.4%を占めた。売上高も世界のGaNパワー半導体市場の33.7%を占めて首位に立った。

中国政府は第3世代半導体産業の発展を非常に重視しており、ここ数年は多くの政策を集中的に導入し、この分野に参入する企業を奨励している。イノサイエンスもこうした背景の下で急成長を遂げた。これまで5回の資金調達で総額60億元(約1300億円)を調達しており、直近の資金調達では評価額が235億元(約5200億円)に達した。

しかし、同社は多くの潜在的なリスクや課題も抱えている。まず、過去3年間の累積赤字は67億元(約1500億円)に達しており、収益力に不安がある。また、目論見書では米国の輸出規制で影響を受ける可能性について言及している。さらに、同社は少なくとも2件の重大な特許侵害訴訟を起こされている。うち1件は、独半導体大手のインフィニオンテクノロジーズが提起したもので、同社が保有するGaN技術に関する米国特許をイノサイエンスが侵害したとしている。

中国の半導体製造装置メーカー、米国からの締め付けで自国内シェア拡大

*1元=約22円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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