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画像生成AIプラットフォーム「LiblibAI(哩布哩布AI)」がこの1年間で3度の資金調達を実施し、調達額が累計で数億元(数十億円超)に達したことが分かった。
エンジェルラウンドでは中国著名VCの源碼資本(Source Code Capital)や高榕創投(Gaorong Ventures)、金沙江創投(GSR Ventures)が出資、2度目は戦略的投資家が主導、3度目は明勢資本(FutureCap)が主導し既存株主も複数参加した。
LiblibAIがこれまでに調達した金額は、中国の画像生成AI分野で最大の規模になる。資金は主に、推論と訓練用アルゴリズムを支える大規模演算のミドルプラットフォーム構築、画像生成モデルをベースとするプラグインの開発やモデルの微調整と制御の研究、そして、開発者エコシステムとオリジナル生成モデル作成者のサポートと運営に使用される。
LiblibAIは、2023年5月創業の「北京奇点星宇科技」が公開した画像生成AIプラットフォームだ。中国ではかなり早い時期に誕生したプラットフォームとして、1000万人近いオリジナル画像の専門クリエイターと、10万件を超えるオリジナルの生成モデルを擁し、生成後にシェアされたAI画像は2億3000万点を超えた。
急成長を遂げた要因としてLiblibAIは、まずプロダクトの方向性に関する戦略を挙げた。
LiblibAIの考えでは、新しい技術革新の始まりにおいて、最も早く変化が表れるのがツールだという。複雑なシーンで大幅な効率化を実現できるため、コンテンツの制作サイド、特にプロの生産現場で最初に変化が起きる。パソコン時代の初期に誕生したマイクロソフトOfficeやAdobeなどのソフトウェアはその例だ。それに対して、普通の消費者は新技術が十分に成熟してから使いたいと考えるため、娯楽用の製品が普及するには往々にして時間がかかる。
このような分析から、Liblib AIは設立後すぐにプロ向けの市場、生産サイドから攻めるというコア戦略を定め、デザイナーや幅広いコンテンツクリエイター向けに創作用の素材とツールを提供した。
それに加えてLiblib AIは、AIモデルと画像生成の両方を扱うクリエイティブなコミュニティを構築して、異なる種類のユーザーを増やすというアプローチをとっている。
その結果、製品のネットプロモータースコア(NPS、顧客ロイヤルティーを測る指標)は70%を超え、1日に増加する新規ユーザーのうちオーガニックな増加が80%に上っているとLiblib AIは説明する。
また、既にAIコンテンツの創作からシェア、著作権、販売までをカバーする完全なエコシステムを構築している。生成モデルの作成者は、オンラインで特定のスタイルに微調整したモデルを訓練し、消費側は、それを利用して画像を生成することができる。
同社のビジネスモデルとしては、個人ユーザー向けにはサブスクリプション方式を採用している。有料会員は、アルゴリズム、オンラインでファインチューニングする「LoRA(Low-Rank Adaptation)」、膨大な量のオリジナル生成モデル、高品質の画像生成機能などが利用できる。法人向けには、ECや設計、ゲーム、旅行、研修などの分野で、コスト削減と効率化を実現するデザインアプリを実用化している。
現段階で最大の課題は、先進的モデルの開発スピードとユーザーニーズのバランスをとり、大規模言語モデルの方向性を見定め、秩序ある発展を保つことだ。LiblibAIは社内の全てのプロダクトマネージャーに必要な要素として「バランス感覚」を挙げている。AIネイティブの思考法で製品のインタラクションやデザインを考えることが必要だが、モデルの進化速度の予測が楽観的すぎてもいけない。モデルの進化には一定のサイクルがあることを認め、徐々にブラッシュアップを進める必要がある。
Liblib AIのコアメンバーは清華大学や北京大学、米カーネギーメロン大学など国内外の有名大学を卒業し、テンセントやアリババ、バイトダンス(字節跳動)、マイクロソフトなど大手テック企業で就業経験がある。AIやインターネット、デザイン分野などのバックグラウンドがあり、起業の経験を持つメンバーも多い。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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