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ロケット開発の中国スタートアップ「深藍航天(DeepBlue Aerospace)」がこのほど、政府系投資ファンドの無錫市高新区投資控股集団が主導するシリーズB2で約10億元(約200億円)を調達した。
深藍航天は2016年に設立され、再使用型液体燃料エンジンロケットの研究開発と商業打ち上げサービスを手掛ける。今回の資金は主に技術開発、生産規模拡大、サプライチェーン管理の最適化と市場開拓の加速に充てられるという。
宇宙産業に関わる技術が進歩し、商用化が進むに伴い、宇宙ビジネスの重要性が増している。中研普華産業研究院によると、世界の宇宙産業の市場規模は2022年に約3840億ドル(約56兆4000億円)で、そのうち商用人工衛星に関わるキャリアロケット打ち上げ、衛星の製造、地上設備、関連サービスという4分野が73%を占め、2810億ドル(約41兆円)にのぼる。
中国では2024年の政府活動報告に初めて宇宙産業が登場し、バイオものづくりや低空経済と並ぶ新たな成長エンジンとされた。
深藍航天は中国で初めて、キロメートル級でロケットを垂直離着陸させ回収する実験に成功した。回収制御システム、大推力可変液体燃料ロケットエンジン、着陸脚の展開と折りたたみ、グリッドフィンの制御などの技術により、ロケットの軟着陸と再使用を可能にした。主力製品の「星雲-1(Nebula-1)」は、再使用が可能な中型2段式液体燃料ロケットだ。
同社は7月21日、山東省済南市にある同社の発射試験基地で、星雲-1の第1段3基エンジン並列フルタイムシーケンス静止燃焼試験、および高高度回収飛行全作業工程でエンジンの広範囲可変推力試験に成功した。
星雲-1は高さ30メートル超、直径3.35メートルで、液体燃料エンジン「雷霆-R(Thunder-R)」10基を搭載し、回収・再使用が可能だ。メンテナンスを迅速に済ませて再打ち上げすることにより、低コスト、高信頼性、高頻度の打ち上げを実現することができる。
実験データによれば、複数回使用によるコスト削減で、今後3年から5年のうちに打ち上げサービスの価格を現在の2分の1から10分の1程度に圧縮することができるという。
深藍航天は星雲-1と星雲-2を量産するために、江蘇省の無錫国家ハイテク産業開発区に面積2万平方メートル超のロケット組立基地を建設した。京杭大運河に沿ったロケット産業集積地域の拡大を加速し、無錫ハイテク区のハイエンド製造業と商用ロケット産業のモデル基地となる予定だ。
同社の趙亜執行総裁は、「深藍航天は中国で唯一、設立当初から液体燃料ロケットの回収・再使用に注力してきた企業で、同じ機体と発射台を使い、100メートル級、キロメートル級のロケット垂直離着陸回収実験に連続で成功した。また、中国で初めて3Dプリント技術をロケットエンジンの製造に応用した」と話す。
これまでエンジン製造には1年から2年の時間が必要だったが、同社は3D金属プリント技術を使ってロケット製造に要する時間を約1週間に短縮し、コスト削減や組み立ての簡略化に成功した。3Dプリントなどの付加製造(Additive Manufacturing)技術がさらに発展すれば、部品の品質や性能もいっそう向上し、効率化が進むと見込まれる。
現在、星雲-1の初打ち上げ準備が進められており、8月にも高高度垂直離着陸回収飛行実験を実施し、状況次第で100キロメートル級の試験打ち上げも行う。今年末に行われる星雲-1の初回収飛行の成功に向けた、中国初のロケット高高度回収実験となる。
2025年末には、同様に回収・再使用が可能で、重さ1000トンとさらに大きな「星雲-2(Nebula-2)」の初打ち上げが計画されている。
同社は今後もロケット回収技術への投資を拡大し、異なるニーズに対応できるさまざまなロケットの開発に取り組み、より効率的で経済的、環境にやさしいロケット打ち上げのソリューションを追求する。
*1ドル=約147円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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