AI活用のスマートリング「RingConn」、米国市場で急成長。 睡眠改善で需要高まる

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

日経スタートアップ注目記事

AI活用のスマートリング「RingConn」、米国市場で急成長。 睡眠改善で需要高まる 

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

スマートリング(指輪型ウェアラブル端末)の開発に取り組むベンチャー企業「玖治科技(Ninenovo Technology、旧:玖智科技)」がこのほど、追加のエンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は、香港科技大学(HKUST)の高秉強名誉教授、同教授が携わるBrizan Ventures II、未来科技基金のほか、香港科技大学・李澤湘教授が携わる清水湾基金と香港X科技基金、長江商学院・甘潔教授が携わるVirtu Internationalが参加。資金は、研究開発や市場開拓、チーム構築に充てられるという。

玖治科技は2021年7月、上海交通大学特任教授で「長江学者奨励計画」に選出された王国興氏と人工知能(AI)専門家の呉昊博士が共同で設立した。低消費電力型の生体信号取得システムや生体情報センサー、AIアルゴリズムなどのコア技術を開発し、関連する知的財産権を保有している。

2023年はスマートリングの販売台数が爆発的に増えた。「RingConn」を展開する玖治科技は、ライバルのフィンランド・Ouraリングと共に二大メーカーとなった。玖治科技のCEOを務める呉博士によると、23年に発売されたRingConnはブランドの独自チャネルを使ったD2Cのビジネスモデルを通じて、1年間でユーザーが4万人、売上高が数千万元(数億~十数億円)に上ったという。

スマートリングのRingConn

RingConnのメイン機能は健康状態と睡眠のモニタリングだ。玖治科技は上海交通大学の研究成果をベースに製品化を進め、電気回路、アルゴリズム、インタラクションシステムを独自に開発した。新製品の「RingConn Gen 2」は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、ストレス、血中酸素飽和度のほか、サイクリング、ランニング、水泳など運動のモニタリング機能も備えている。前世代の製品に比べ、機能の充実と薄型軽量化が進み、重さはわずか2グラムほどになった。また、独自の低消費電力技術によって連続使用時間は平均10~12日に延び、市販されている他のスマートリングを上回る。

RingConn Gen 2は最近、クラウドファンディング・プラットフォームのKickstarterに価格209ドル(約3万円)でリリースされ、リリースから8時間で100万ドル(約1億5000万円)を集め、同プラットフォームでここ数年の最速記録を更新した。

RingConn Gen 2のクラウドファンディングが開始から8時間で100万ドルに

4万人のRingConnユーザーのうち70%は35~55歳の米国人だ。呉教授は、この年齢層のユーザーは健康に関心が高く、日常的な身体のモニタリングと健康管理に対する需要があると説明した。装着すればOSAのモニタリングと早期発見ができるため、この目的で購入するユーザーが多いという。

いびきをかく人の25%にOSAの症状があると言われており、OSAは高血圧や記憶喪失などの病気につながる可能性がある。同社は、上海交通大学医学院付属の瑞金病院や中山大学など国内外の著名な医療機関や研究機関との提携を通じて、OSAのモニタリング精度を医療用レベルに高め、米国食品医薬品局(FDA)の認証を申請した。

RingConn Gen 2の睡眠時無呼吸症候群のチェック機能

スマートリングが製品として成熟するのに伴って、大手家電メーカーが相次いで参入してくる可能性がある。玖治科技はスタートアップ企業としてニッチな分野に狙いを定める必要があると考えた。スマートリングが健康と睡眠のモニタリングで大きな役割を果たすことに注目し、今後はスマートリングの改良に加え、消費者向け健康測定機器の開発に注力するほか、血圧検査や診療補助の分野に参入する方針だという。

同社がこれまで販売チャネルを広げて大量出荷をしてこなかったのは、生産量と良品率を確保するためだ。今年前半に製品ラインとサプライチェーンが整備されたため、海外市場で販売チャネルを拡大、10カ国でAmazonに出品し、実店舗での販売も開始した。また、海外市場をメインに展開してきたが、今月には中国本土市場への参入を計画している。

*1元=約20円、1ドル=約146円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録