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アパレル業界で世界第2位の売上高を誇るH&Mは、8月末に「高級化戦略」を発表し、価格競争の渦から抜け出して、販売数よりも収益性を優先する方針を明らかにした。
それからわずか1カ月後の9月末、同社は高級化とはやや矛盾する動きを見せた。格安で知られる中国の大手電子商取引(EC)サイト「拼多多(PinDuoDuo)」(以下、PDD)に旗艦店を出店したのだ。現在、拼多多に旗艦店を出店する世界的なアパレルブランドは数少ない。
H&Mが地方で多くのユーザーを抱えるPDDに出店した狙いとして、そういった膨大な消費者層により低価格の商品を届けることだとみられる。H&Mはすでにアリババの「天猫(Tモール)」や京東(JDドットコム)のほか、ショート動画大手「抖音(Douyin)」のECサービスで商品を販売しているが、いずれも1000元(約2万円)以上の商品だ。一方、PDDでは1000元以上の商品は1点だけで、最も販売数が多いのは98元(約2000円)のアイテムだという。
H&Mだけでなく、アパレル世界最大手のZARAも、新型コロナウイルスの流行を境に売上高が落ち込んでいる。さらに、驚異的なやすさを強みに世界で台頭する中国系越境ECの「Temu」や「SHEIN」も、その苦戦の原因となっている。
こうした背景を踏まえて、H&Mは現在、実店舗の展開を縮小し、ネット通販に注力しはじめている。中国の店舗数は、2019年の535店舗から23年には約300店舗に減少した。なお、拼多多への出店とほぼ時を同じくして、H&Mは抖音で初めてのライブコマースを実施している。
*1元=約20円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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