米ナスダック、IPOルール厳格化で中国企業の上場を事実上制限

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ロイター社の報道によれば、米ナスダックは中国の中小企業によるIPO(新規株式公開)のルールを引き締め、承認手続きを遅らせるなどの措置を講じている。その背景にある理由として、中国概念株(収益源は中国国内にあり、上場は海外で行っている中国企業の株)の投機的売買の多くが、米国ではなく中国の投資家により実施されているという現実がある。

多くの場合、これら上場後の株式は内部関係者のごく狭い範囲内にとどまっており、多くの大型機関投資家を呼び込みたいナスダックの当初の思惑から外れている。ナスダックに上場しているオンライン薬局チェーン「111集団(111, Inc.)」の例を挙げると、IPOで1億ドル(約109億円)を調達したが、株式は主に同社幹部の関係者に売却されている。これ以外にも、MCN(マルチチャンネル・ネットワーク)ビジネスを手掛ける「如涵控股(Ruhnn Holding Limited)」や教育事業の「朴新教育(Pu-Xin Education)」といったナスダック上場企業の株式も、中国の投資家により投機的に売買されている。

ナスダックへの上場は、ベンチャーキャピタルの主なマネタイズ手段の一つだ。動画配信サイトの「愛奇芸(iQiyi)」や動画共有サイト「ビリビリ(Bilibili)」、またゲーム実況動画配信サービス「闘魚(Douyu TV)」、共同購入ECサイト「拼多多(Pinduoduo)」、旅行予約サイト「携程(Ctrip)」および「網易(NetEase)」などの有名企業はいずれもナスダックに上場しており、米国取引市場に上場している中国企業156社の時価総額は1兆2000億ドル(約130兆円)に達している。

2018年、中国概念株が米国に殺到し、31社がニューヨーク証券取引所とナスダックで合計85億ドル(約9200億円)を調達し、調達資金全体の6分の1を占めた。また大規模なIPO案件の上位4社は愛奇芸、NIO(蔚来汽車)、拼多多およびテンセントミュージック・エンターテインメント(TME)といずれも中国企業が占めた。今年に入ってもその動きは衰えておらず、創業からわずか18カ月のluckin coffee(瑞幸珈琲)がナスダックで1億ドル(約110億円)の調達を目指し、最終的に5億6100万ドル(約610億円)を調達している。

ナスダックが規制を強化することで、市場撤退もさらに困難となった。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、中国企業を米国市場から撤退させる計画はまだ検討段階にはないと述べている。だが中国企業の上場に対する規制は間違いなく厳格化しつつある。

米国での上場が困難になったことで、香港証券取引所と中国国内のスタートアップ向け市場「創業板(チャイネクスト)」が中小企業にとって最良の上場先となることが予想される。昨年は44社の中国企業が香港証券取引所に上場し、一昨年の3倍となる320億ドル(約3兆4800億円)を調達した。今後は中国域内での資金調達が、上場を考える中国企業の主な選択肢となるかもしれない。
(翻訳・神部明果)

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