中国、水素ドローンの長時間航続に挑戦 「固体水素」駆動システムで世界初飛行

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水素を使ったドローン用駆動システムを手がけるスタートアップ企業「北京氫源智能科技」(以下、氫源智能)がこのほど、シリーズBで1億元(約20億円)を調達した。出資には、上海海際朴誠資産管理(Hercules Shanghai Asset Management)が湖州呉興交通旅游投資発展集団と共に設立したファンドと、水素エネルギー分野の上場企業・国鴻氢能(Sinosynergy)の創業者が関わる企業が参加した。資金は、浙江省湖州市で研究開発と製造の機能を一体化した約2万平方メートルの拠点を建設するのに用いられる。

氫源智能は2021年に設立され、ドローン用に固体の水素を用いる駆動システムとアンチジャミング機能(電波妨害対策)を持つナビゲーションシステムの開発に取り組む。北京理工大学の技術力と専門性をベースに、金属有機構造体(MOF)を用いる水素貯蔵のコア技術を確立したうえ、中国トップクラスのアンチジャミングナビゲーション技術も有しており、エネルギーや交通、軍事・警察、緊急対応などの分野に高効率な水素動力システム、スマート装置およびソリューションを提供している。

画像:企業提供

「中国政府は『低空経済』を重視しており、その中でも最大の部分を占めるドローンは大きな成長の可能性を秘めている」。共同創業者の周輝CEOによると、同社のナビゲーションモジュールと駆動モジュールという2つのドローン用コアモジュールは、業界をリードする先進的な技術によって事業を展開している。特にMOFで貯蔵した固体水素を使う駆動モジュールの技術は革新的で、ドローンの航続に関する課題の解決につながった。今後、水素を使う潜水機や二輪車、船舶のほか、大規模な水素蓄電などに活用シーンが広がる可能性がある。

また共同創業者の李政CFOは、水素エネルギーとドローンはいずれも投資家の注目が高い分野で、固体水素を使うドローン用動力システムはその両方に関わるが、高い技術革新力と腰を据えた投資家の支えが必要になると説明した。

氫源智能は今年5月28日、固体水素の駆動システムを搭載したドローン「理工氢源・翠亨1号」の飛行に世界で初めて成功した。これは積載量30キロの多機能ドローンで、長時間航続や耐低温性、不燃性などの特長を持つという。持続的に安定した動力供給が可能なため、緊急救助、環境調査、空中投下・輸送、巡回検査などでの活用が想定されている。

これらのドローンはすでに、中国の複数の地方にある電力網で活用されている。今後は、大型ドローンや特殊車両、小型船舶、潜水機、水素蓄電などでの実用化を目指しているという。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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