利用者3億人の中国版インスタグラム「小紅書」、EC事業強化で業績向上狙う 新興ブランドも積極導入

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中国の若者に最も愛されるSNSプラットフォーム「小紅書(RED)」が、電子商取引(EC)サービスの強化に乗り出した。

小紅書は2013年に誕生し、写真とテキストを盛り込んだ投稿機能で中国版インスタグラムと呼ばれてきた。現在は、メイクや旅行、ライフハックなどの情報を共有できるだけでなく、ショッピングも可能な総合プラットフォームに成長している。

2024年3月に公開されたデータによると、小紅書の月間アクティブユーザー(MAU)数は3億人を超えており、女性と若者が圧倒的に多いという特徴がある。ユーザーの50%が1995〜99年生まれ、35%が2000年代生まれと30歳未満が大部分を占め、50%が1線都市(北京・上海・広州・深圳の4大都市)や2線都市(成都や天津、杭州、南京などの中核都市)で暮らす。女性の割合は70%に上る。

膨大な数のユーザーを抱えているにもかかわらず、小紅書は収益化に苦しんでいた。しかし、広告事業とEC事業を主軸とする戦略に舵を切ったことで、2023年には売上高37億ドル(約5500億円)、純利益5億ドル(約750億円)と同社史上初の黒字化を果たした。

小紅書がライブコマース事業をスタートしたのは2020年。ショート動画プラットフォームの抖音(Douyin)や快手(Kuaishou)、アリババグループが運営するECモールの淘宝(Taobao)に比べればかなり遅かったが、23年8月にEC事業とライブコマース事業を統括する「取引部門」を設立し、SNS部門やビジネス部門と同等の主力部門とした。

商品の安さやインフルエンサーの人気に頼るプラットフォームとは違い、小紅書はコンテンツと体験を売りに客単価を伸ばし、現在は中小事業者の誘致に力を入れている。中小事業者は、規模が小さいからこそ意思決定が速く、ニッチで個性的なニーズにも対応できるからだという。

小紅書は、良い商品やライフスタイルをシェアし合う場として多くの若者に認知されており、中小事業者や新興ブランドとの親和性が高い。米調査会社ニールセンによると、小紅書には毎月1億2000万人のユーザーが訪れ、商品紹介の投稿を検索している。また、3年間にわたって数千人のユーザーを対象にアンケートを実施したところ、商品購入の決め手の1〜3位は品質(84%)、心の満足(79%)、コストパフォーマンス(79%)の順で、ブランド(71%)は7位だったという。この結果は、小紅書のユーザーが品質と情緒的価値を兼ね備えた商品を購入する傾向が高いことを示している。実際、現在の売れ筋商品トップ1000のうち160アイテムが成長中のブランドの商品となっている。

小紅書は9月13日に中小事業者向けのイベントを開催し、最高マーケティング責任者(CMO)の之恒氏が2024年1〜6月の出店事業者データを発表した。小紅書に出店する中小事業者数は前年同期比379%増、中小事業者の流通取引総額(GMV)は436%と爆発的に伸びた。また、月商500万元(約1億円)以上の事業者は3.5倍となり、購入者数も4.3倍と急拡大している。

23年8月に本格スタートしたライブコマースでは、条件(フォロワー数1000人以上、実名認証アカウント)を満たして商品を販売するインフルエンサーや一般ユーザーの数が6.7倍となり、彼らと提携するブランドも5.2倍に増えたという。

*1ドル=約149円、1元=約21円で計算しています。

(編集・36Kr Japan編集部、翻訳・田村広子)

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