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中国では独自の衛星測位システム「北斗」を利用することで、携帯型衛星通信機器「北斗衛星徽章」による瞬時の救急要請が可能になり、対応システム搭載車両の遠隔運転時の遅延時間が35ミリ秒に抑えられるなど、北斗の技術が長年の発展を経てより身近に、指先に触れるものに進化している。
工業情報化部の王江平副部長はこのほど、湖南省株洲市で開かれた第3回北斗大規模応用国際サミットで、「北斗システムが提供する時空情報サービスは中国デジタル経済を構成する重要な部分になっている。北斗の大規模な応用と産業化の発展にも空前のチャンスが到来している」と述べた。
同部電子情報司の呉国綱二級巡視員によると、23年の中国衛星航法・測位サービス産業の生産額は前年比7.1%増の5362億元(1元=約21円)だった。証券会社の徳邦証券はリポートで、中国の衛星航法・測位サービス産業の生産額は25年に1兆元に達すると予測している。
衛星測位・位置情報サービスの業界団体、中国衛星導航定位協会が発表した「2024中国衛星航法・測位サービス産業発展白書」によると、23年は衛星航法技術の研究開発・応用と直接関連する半導体チップ、デバイス、アルゴリズム、ソフトウエア、航法データ、端末設備、インフラなどを含むコア産業の生産額が1611億元に達し、全体の30.0%を占めた。衛星測位システム対応ナビゲーションアプリやサービスなど派生産業の生産額は7.8%増の3751億元で全体の70.0%を占めた。白書は「両者の割合は1:2.3となっている。世界の状況と比較すると、中国衛星航法・測位サービス市場の発展の他の分野への波及効果には大きな拡大余地がまだある」との見解を示した。
北斗の大規模利用はほぼ実現されている。国産の北斗対応チップ・モジュールの出荷量は23年末時点で累計4億個を超え、北斗の測位機能が搭載された各種端末の保有量は14億台(セット)を上回った。農業、ラジオ・テレビ、モバイル通信、エネルギーなど6分野における北斗対応端末導入数はいずれも100万台(セット)を超え、中でも交通運輸業は約1300万台(セット)で最多となった。
通信大手、中国電信(チャイナテレコム)傘下のシンクタンク、天翼智庫のリポートによると、中国自動車メーカーの多くは衛星通信端末を搭載した車を発売しており、その進展は他国をリードしている。ただ、現時点では衛星と直接接続する機能の搭載は主に高級車に限られており、26年にはミドルレンジ・ローエンドモデルにまで普及するとみられる。
北斗の大規模応用では海外進出にも期待が寄せられている。湖南省発展改革委員会が発表した「北斗産業発展青書(2024年)」によると、北斗システムサービスおよび関連製品の輸出先は130数カ国に広がっている。(新華社北京)
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