セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
米電気自動車(EV)大手のテスラ、中国の自動車大手「奇瑞汽車(Chery Automobile)」、新興EV「小鵬汽車(Xpeng Motors)」など自動車メーカーが人型ロボット事業への参入のニュースが絶えない中で、中国「長安汽車(Changan Automobile)」も11月15日に広州国際モーターショーで、今後人型ロボットや自動車におけるロボットなどに事業領域を広げていくと発表した。
その中で、新エネルギー車のサプライチェーン(供給網)の主要プレーヤーとして、中国車載電池最大手・寧徳時代(CATL)もこの分野での遅れに負けじと、人型ロボットの独自開発に乗り出している。
36Krが得た情報によると、CATL未来エネルギー(上海)研究院(以下「未来エネルギー研究院」)が、上海交通大学と共同で工場での実用化に向けたロボットを複数開発しているという。
未来エネルギー研究院はCATLが100%出資する子会社だ。公式サイトによると、2022年1月に同研究院は上海交通大学と協力関係を結んで、共同で新エネルギー分野の先端技術を研究し、次世代のエネルギーイノベーションセンターを構築していく。2023年、同研究院は「グローバルな最先端技術の開発に向けて、CATLグループ全体の発展へ繋げる」という考えのもと、上海交通大学と二足歩行ロボット、重荷重用四足ロボット、人型ロボットなどのロボット共同研究協力プロジェクトを発表した。
名門大学との共同研究開発のほか、CATLは自社でも独自のロボットを開発している。関係者の情報によると、最先端技術の研究に重点を置く「CATL 21Cイノベーションラボ」は、ロボットアームの研究のために約20人のチームを立ち上げたという。
CATLは世界的に知られる車載電池メーカーで、韓国の調査会社SNEリサーチが発表したデータによると、2024年上半期にCATLは前年比で29.5%増の137.7GWh(ギガワット時)の搭載量で、車載電池の世界シェアで7年連続の首位を独走している。
CATLがトップシェアを維持している理由の一つは、極限までのスケールメリットによる生産コストの圧縮にある。また工場では全工程のシミュレーションや画像認識などの技術を活用し、電池の生産効率を向上させて、製品の欠陥を減らしている。同社の工場は平均1秒で一つの電池セルを生産し、ライン当たりの生産能力は日本や韓国企業の3倍近いとされる。
しかし「電池の極限製造(Extreme Manufacturing)」を求めるCATLは、製造の優位性をさらに強化するつもりだ。CATLのチーフサイエンティストの呉凱氏は、将来の工場の完全自動化生産に向けて進めていると表明した。
ロボットの導入は、CATLの工場を変革する方法のひとつである。そのため、未来エネルギー研究院は、関節駆動モーター、ロボット操作・制御、ワイヤーハーネス・センサー分野のエンジニアなど、ロボット関連の人材採用を開始したと報じられている。
現在、CATLはロボット本体の開発に力を入れており、すでに移動用ロボット、ロボットハンド、ロボット用部品など、ロボット関連の10件の特許を取得しているという。
しかし、CATLはロボットの独自研究の進歩に遅れていると考えており、今年、AIロボットスタートアップ企業の「智元機器人(Agibot)」を含む多くの人型ロボット企業と接触し、電池工場で人型ロボットの試験と検証を行ったと、CATLに近い人物が明らかにした。それと同時に、CATLは人型ロボット企業に投資を惜しまず、ロボット事業の拡大を加速させようとしている。
最近、CATLの共同創業者で副会長の李平氏が設立した投資会社「柏睿資本」がスタートアップ企業「千尋智能科技(Find Max)」に出資した。これはCATLがエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)の分野で行った最初の投資となった。
(36Kr Japan編集部)
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録