中国オーディオプラットフォーム業界の雄 「Lizhi(茘枝)」が米国でIPOを申請

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中国オーディオプラットフォーム業界の雄 「Lizhi(茘枝)」が米国でIPOを申請

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米現地時間10月28日、オンラインオーディオ大手の「Lizhi(茘枝)」は米国証券取引委員会(SEC)にIPOを申請した。ティッカーコードは「LIZI」。これにより同社は中国の音声コンテンツプラットフォームとして初の上場企業となる可能性が出てきた。

茘枝はIPOにより1億ドル(約110億円)の調達を目指しており、幹事証券会社はクレディ・スイスとシティグループ。調べによると、同社の米国での上場による調達資金は主にAI研究開発への投資、革新的プロダクトの研究開発および海外市場の開拓などに充てられる予定。

目論見書によれば、同社の今年第3四半期の月間アクティブユーザー数(MAU)は4660万を超えており、その12%超となる570万人以上のアクティブホストを抱えている。さらに1億6000万件以上のポッドキャストコンテンツが掲載されており、同業界では中国最大のUGC(ユーザー生成コンテンツ)コミュニティ、MAUベースでは中国第二のオーディオプラットフォームに成長している。またアプリユーザーの1日当たり平均利用時間は53分に上る。大勢のコンテンツクリエイターや大量のオリジナルポッドキャストコンテンツ、さらにラジオライブ配信やインタラクティブ形式が茘枝の特色だ。同社のオリジナルコンテンツは、癒やし系トーク、親子向け、語学学習、音楽、漫才など27種の大ジャンルおよび107の小ジャンルに及んでいる。

このほか、同社はIoTエコシステムの構築にも着手しており、バイドゥと共同でインターネットラジオとスマートスピーカーの融合に取り組むほか、グループ向けボイスチャットに特化したアプリ「Sugar Chat」を海外でローンチするなど、海外進出も進めている。

茘枝の目論見書にある主なデータ一覧

UGCのライブ配信機能が成長の鍵

目論見書によると、2013年に発表された茘枝はUGC形式による「声で記録しシェアする生活」をコンセプトに掲げたことで大量のユーザーやホストの蓄積に成功し、同プラットフォームはインターネットラジオ業界のInstagramまたYouTubeと呼ばれてきた。

同社はAIのアルゴリズムを利用し、リスナーに対するコンテンツのレコメンドを完全自動化した。さらにコンテンツ分析から収集した各種データを通じて「声で遊べる」ような工夫も凝らしている。例えば「声鑑卡(声の鑑定カード)」では自身の声の質を点数で評価してくれる。

茘枝の企業沿革
目論見書にある茘枝の「エコシステム」

茘枝は2016年にライブ配信機能をローンチし、これが同社の成長を決定づける重要な転換点となった。同業界によるそれまでの資金調達熱は徐々に冷め、ユーザー数の伸びも緩やかになる中で、業界トップを走る各社はより明確な商業化手段を模索するようになった。「蜻蜓FM(QingTing FM)」や「Himalaya(喜馬拉雅)」はPGC(プロ生成コンテンツ)や有料コンテンツに重点を置き、著作権料の奪い合いを始めたが、一方で茘枝はUGCを重視する道を選んだ。

このUGCのライブ配信が功を奏し、2017年末時点で茘枝の世界登録ユーザー数は1億5000万人超、MAUは3000万人、月間アクティブライバーは300万人、番組数は1億件を超えた。以前の公開情報によれば、ラジオ生配信機能による売上高はローンチからわずか3カ月で1000万元(約1億5000万円)を超え、昨年初めには1億元(約15億円)に達している。

業績に関しては、昨年の売上高は前年同期比76%増の約8億元(約120億円)、売上総利益は2億3000万元(約40億円)に達した。また今年上半期の売上高は4億8600万元(約70億円)、売上総利益は1億4000万元(約20億円)となっている。さらに今年3四半期の売上高は前年同期比72%増の約3億3000万元(約50億円)となったが、全体ではまだ黒字化を達成しておらず、ライバーへの補助金の増加およびAIの研究開発やグローバル化への投資がその原因だという。

市場潜在性の高い中国で若者の囲い込み狙う

中国の調査会社「艾瑞諮詢(iResearch)」のデータによれば、中国の音声コンテンツ配信市場のユーザーは3億7700万人に達し世界最大規模となっており、2023年までには9億人を超える模様だ。だがインターネットラジオの普及率が高く、総人口の半数以上が利用しているアメリカに比べ、中国には依然として大きな発展の余地がある。モバイルインターネットユーザーへの普及率で言えば、音楽が89%、ゲームが82%、動画が74%であるのに対し、インターネットラジオではわずか45.5%にとどまっている。

蜻蜓FMや喜馬拉雅に比べ、茘枝はそのインタラクティブ性とコミュニティの盛り上がりにより、1990~2000年生まれの若者がユーザーの約60%を占めている。これを元に、同社はさらなる商業化手段を模索していきたい考えだ。

茘枝はローンチから6年の間に数度の資金調達に成功しており、2017年にはシリーズDで5000万ドル(約60億円)を調達し、シャオミも戦略投資家として出資を行っている。
(翻訳・神部明果)

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