OPPO専務、独自LLMの生成AIを武器に日本で3年半ぶり高級スマホ ドコモにも「ラブコール」

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中国スマートフォン大手OPPO(オッポ)の日本法人「オウガジャパン」の河野謙三専務がインタビューに応じ、3年半ぶりにハイエンド機種「Find X8」を2024年12月に投入して話題となる中で、日本市場での戦略を語った。

日本で長らくハイエンド機種を展開しなかった理由を「やっと日本市場で戦える機種が出せたためだ」と説明した。OPPOとしても人工知能(AI)で勝負するという方向性が固まったため、日本でのハイエンド商品の展開を決断したという。中国のスマホメーカーがカメラに力を入れた商品を展開する中で、スウェーデンのプロカメラメーカー「ハッセルブラッド」と共同開発したカメラを搭載した。現時点ではSIMフリーの販売チャネルとなったが、大手通信キャリアとの関係をこれまで以上に強化していきたいとした上で、まだ商品供給をしたことのないNTTドコモにラブコールを送った。

オウガジャパンの河野謙三専務

技術のショーケース

河野氏はOPPOの生成AIについて「スマホの操作に求められる機能は何かというところはどこのメーカーよりも先進的に研究している」と強調し、今回のハイエンド商品の投入はその成果を日本市場に伝える「技術のショーケースとしての意味がある」と強調した。

OPPOは生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の「アンデス(Andes)GPT 」に力を入れており、大規模視覚モデルと統合したマルチモーダル(複数の異なる種類のデータに基づいた)な生成機能を持ったAIの開発を独自の研究で進めているという。

OPPO AI

さらに、端末内蔵のAI専用プロセッサー「NPU(Neural Processing Unit)」を活用することで、AIの応答性の向上やセキュリティーの向上を期待できると説明した。これにより、クラウド上で動作するGoogleの生成AI「ジェミニ」などに加えて、さらにAIが活用しやすくなるという。

今後もハイエンド商品だけでなく、こうしたAIの研究成果を比較的安価なモデルにも搭載する方針を明らかにした。

ハッセルブラッドとの協業

OPPOは、同業の中国スマホ大手の小米科技(シャオミ)などが独高級カメラメーカー「ライカ」、vivoが独レンズメーカー「ZEISS(カールツァイス)」と共同開発を進める中で、ハッセルブラッドを選択した。共同開発した「Hasselblad Master Camera System」を搭載し、いずれも5000万画素の超広角、広角、望遠の3眼カメラを備えた。

河野氏は、ハッセルブラッドがアポロ11号の月面着陸や、ビートルズのアルバム『Abbey Road』のジャケット写真撮影に使われたカメラメーカーである点を挙げ、「人類の歴史的瞬間を記録してきたブランドだ」と述べた。また、自然な色合いを重視する同社のカメラ哲学が、OPPOの目指す「リアルな視覚表現」と一致していたことも、協業の決め手になったと語った。

OPPOとハッセルブラッドが共同開発した「Hasselblad Master Camera System」

チップは最適なものを

OPPOは2023年5月に半導体設計子会社の「ZEKU(哲庫科技)」を解散し、半導体事業を停止。21年には回路線幅6ナノメートルのカメラ向けイメージングNPUの「MariSilicon X」を発表するなど先進的な取り組みが注目されていた。製造工場を持たない「ファブレス」企業として、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が製造を担ってきたため、米国の半導体規制の影響などで、長期的な成長が困難だと判断したとされる。

Find X8には台湾半導体大手のメディアテック(MediaTek、聯発科技)の半導体チップ「Dimensity 9400」を採用した。電池も負極にグラファイト(黒鉛)ではなく、シリコンカーボンを使って薄型化を実現した次世代電池を採用している。

河野専務はトランプ米次期政権が成立後も「政治的なことにはタッチしないのがメーカーとしてのポリシーだが、地政学リスクに備えながら事業の継続性を担保していくことが大事だ」と語った。

Find X8はメディアテックの半導体チップ「Dimensity 9400」を採用

松竹梅戦略

2025年の製品展開について、河野氏は「ハイエンドのFindシリーズ、ミドルレンジのRenoシリーズ、安価なAシリーズを松竹梅のように出していく」と述べた。12月にFindシリーズとAシリーズをリリースしたため、次はRenoシリーズの発売を目指すという。

OPPO Find X8

Findシリーズは、大手キャリアではなく、SIMフリーチャネルでの販売となった。グローバルモデルの発表からわずか8日後という短期間でのリリースを実現した背景には、キャリア向けモデルの場合、共同開発に時間がかかるためで、日本特有のおサイフケータイには非対応としたが、これは「日本市場への早期投入を優先した結果だ」と説明している。

OPPO A3

購入層に関しては「中国では若い女性が買っているイメージだと思うが、日本では実は中高年に選ばれている」と明かした。2025年の目標として「大手通信キャリアとの関係を維持しながら、新たにNTTドコモとも協業したい」と語った。

(36Kr Japan編集部)

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