「ヴェノム」エフェクトで話題沸騰。Sora匹敵の動画生成AI「PixVerse」、世界ユーザー1200万人超に

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中国の動画生成AIスタートアップ「愛詩科技(AIsphere)」がこのほど、シリーズA4の資金調達を実施した。シリーズA2~A4で調達した資金は総額で3億元(約63億円)近くに上り、アリババ系列のアント・グループ、北京市人工智能産業投資基金、国科投資(CAS Investment)、光源資本(Lighthouse Capital)が出資した。

愛詩科技は、生成AI時代の革新的な動画コンテンツの制作や配信にフォーカスし、世界トップクラスの動画生成AIモデルやアプリの開発に力を注いでいる。2024年1月にリリースしたグローバルユーザー向け動画生成AI「PixVerse」は、初月に120万回を超えるアクセス数をたたき出した。同年7月にはバージョンアップした「PixVerse V2」を発表、一貫性を保ちながら一度に複数のビデオクリップ生成が可能になり、ビデオクリップ1つなら8秒、複数でも40秒で生成できるようになった。10月末に最新バージョンの「PixVerse V3」が発表されると、SNSで爆発的な話題を呼び、特にスパイダーマンに登場するダークヒーロー「ヴェノム」に変身するエフェクトは、一般の人でも再生回数100万回以上を稼げるほどの人気ぶりだった。

PixVerseより

2024年2月、米OpenAIが動画生成AI「Sora」のデモ動画を公開した際、愛詩科技の創業者兼CEOの王長虎氏は3~6カ月でSoraのレベルに追いつけると判断した。Soraは12月になってようやく一般公開されたが、期待していたほどの感動はないという評価が大多数を占めた。

一方で、PixVerseは、2024年終わりに実施された中国語による動画生成AIのベンチマークテスト「SuperCLUE」などで1位に輝き、世界の動画生成AIランキングでも上位の常連となっている。リリースから1年が経過した今、PixVerseは世界に1200万人以上のユーザーを抱え、月間アクティブユーザー(MAU)は600万人近くに上り、すでに収益化に成功している。

動画生成AIには解決すべき課題がまだ数多くあり、王CEOも業界の技術的手法が定まっていないことを認めている。開発の重点は現在、生成できる動画の長さを競うことから、内容の一貫性や明瞭さ、動きの幅広さなど、多方面へと広がっている。

PixVerseより

PixVerseは4Kに対応した最長10秒の高画質動画を生成でき、ビジネス用途としても問題ないクオリティーに仕上がっている。2024年12月に内部テストを開始した最新バージョン「V3.5」は、生成スピードを30秒以下に短縮し、プロンプトに沿ったレスポンスやモーションコントロールが大幅に改善された。間もなく一般公開されるという。

PikaやRunwayなど動画生成AIスタートアップの多くが法人向け事業を展開しているのに対し、愛詩科技は設立当初から一般消費者向け市場に的を絞ってきた。王CEOは過去に在籍したバイトダンスで、ビジュアル技術チームやビジュアルアルゴリズムプラットフォーム、業務ミドルウエアをゼロから立ち上げ、TikTokや抖音(Douyin)の急成長を支えた。その経験が消費者市場に対する確信の源となり、ショート動画プラットフォームを利用する数十億人の一般消費者に、手軽な動画作成サービスを提供することを自社の目標として掲げてきた。

PixVerseより

2024年には、動画生成AI関連のスタートアップが数多く誕生したほか、バイトダンスや快手(Kuaishou)、アリババグループ、テンセントなどのIT大手も動画生成AIモデルを発表した。こうした大手の参入に対しても王CEOは楽観的な姿勢を崩さず、動画生成AIには解決すべき技術的な課題が数多く残っているため、スタートアップ企業にも十分チャンスはあるはずだと指摘する。

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AIの訓練や推論にかかるコストも急激に下がってきている。愛詩科技のAI訓練コストは同業他社の3分の1、場合によっては10分の1に抑えられており、今後1年でさらに下がる見込みだ。2025年は商用化のペースアップを図り、規模の拡大による事業成長を目指す方針だという。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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