電動ブレーキの応答時間、数十ミリ秒まで短縮。バイ・ワイヤ技術の中国企業、量産へ

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中国のバイ・ワイヤ技術開発企業「千顧科技(Trugo Tech)」(全称、上海千顧汽車科技)がこのほど、シリーズBで4億元(約90億円)を調達した。一汽股権投資(FAW Equity Investment)や藍湖資本(Blue Lake Capital)など13社が出資した。

中国の業界団体・全国乗用車市場情報連合会(CPCA)が発表したリポートによると、2024年1〜6月は電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー乗用車(NEV)の運転支援システム(自動運転レベル2以上)搭載率が66.4%に達した。自動運転市場は今まさに急拡大の入り口に立っている。

自動運転機能の向上により、より正確にブレーキ力をコントロールできるブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)の需要が高まっている。BBWは電気信号でブレーキを制御する技術で、従来型ブレーキでは300〜600ミリ秒だった応答時間を150ミリ秒前後に短縮し、自動車の安全性を大幅に向上させる。

千顧科技は2015年に設立され、シャシー(車台)向けバイ・ワイヤ技術の開発に注力してきた。300人近くのスタッフのうち8割が研究開発に携わっており、中心メンバーには10年以上にわたって新エネ車やスマートカー向けのシャシー・バイ・ワイヤを開発してきた人物がそろう。

主力製品の横滑り防止装置(ESC)とアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)はすでに、自動車メーカー6社向けに量産されており、2023年の国産乗用車用ESC&ABS市場でシェア30%を獲得している。

また、千顧科技が開発した電子油圧式ブレーキ(EHB)は、ESC、ABS、電動ブレーキブースターおよび電動パーキングブレーキ(EPB)の機能を統合したもので、センサーフュージョンにも対応し、より正確な進行方向の決定と車体の安定性を実現する。現在のEHBの年産能力は80万セット。EHBなど同社のBBW向け部品は、中国の有名自動車メーカー11社に採用され、乗用車と商用車計50車種以上に搭載されている。

徐松雲副社長によると、同社が開発中の電動ブレーキ(EMB)は応答時間を数十ミリ秒まで短縮できる。すでにプロトタイプと開発プラットフォームが完成し、車両に搭載した状態でのテストに入っており、2026年10〜12月期には量産が実現する見通しだという。

半導体チップについては、複数の有名自動車メーカーと戦略的パートナーシップを結び、車両への搭載を段階的に進めている。産学連携の面では、自動車大手の上汽通用五菱汽車、武漢理工大学、車載電池メーカーの保隆科技と「スマートシャシー・バイ・ワイヤ共同研究室」を設立し、技術開発を加速している。

千顧科技は今後、サスペンションの開発にも取り組み、製品ラインを拡充する方針だという。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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