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スマート製造システムソフトウエアの開発を手がける「海伯利安機器人(Hyperion Robot)」(以下、ハイペリオン)がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。出資は乾融投資控股(Qianrong Investment Holding)が主導し、徳同資本(Detong Capital)や珞珈創投(Luojia Capital)なども参加。資金は主に製品の研究開発と市場開拓に充てられるという。
ハイペリオンは2020年に設立され、人工知能(AI)を使った産業用ロボットの制御システムを開発している。コアメンバーは清華大学や武漢大学、華中科技大学、浙江大学などの出身で、AIやロボットの分野で豊富な開発実績を持つ。
同社は、産業用ロボットにエンボディドAI(身体性を有する人工知能)の機能を持たせるシステムソフトウエア「HyperBrain EAI」を独自に開発した。これを導入すれば、ロボットは視覚や力覚などの情報を分析・理解しながら自律的に意思決定し、さまざまな工程のタスクをこなせる。すでに自動車や船舶、軍需、鉄道、建設、大型設備などの分野で活用され、米国やロシア、ブラジルなどの海外市場でも販売されている。
人型ロボットはAIの後押しを受けて急速に進化している。産業用ロボットの分野でも、AIは製品の変革と高度化をもたらしてきた。
従来の産業用ロボットは、担当者が事前にプログラムを組み、設定された手順に従って反復作業を実行するが、この方法では実際の作業時に位置ズレやミスが生じやすい。
ハイペリオンのスマート製造システムは、現場の状況に応じてリアルタイムでプログラミングできるため、産業用ロボットが「頭脳」を持ったかのように正確な作業が可能になる。この技術は溶接や塗装、シーリング、洗浄、研磨、3D切削などの工程で幅広く活用できる。
劉希CEOは「HyperBrain EAIは実質的にエンボディドAIとなるソフトウエアで、作業時にはデータ取得や分析、計画を経て実行へと移す。それを支えるのは3Dマシンビジョンの機械学習だ」と説明した。
HyperBrain EAIはロボットの「大脳」となり、3Dカメラが「目」の役割を担う。「大脳」を通じて産業用ロボットの「手と目」を連動させれば、従来のロボットよりも作業効率が大きく向上する。
劉CEOによると、2023年にシステム導入を依頼された溶接と研磨の生産ラインの場合、従来のロボットでは担当者が事前プログラミングに丸1日を費やすうえ、現場で再びプログラミングと調整が必要となる。一方のエンボディドAIの機能を持つロボットなら、わずか5分でプログラミングを終え、現場の状況に応じてタイムリーに変更できるという。
ハイペリオンは今後も引き続き研究開発に注力し、制御システムソフトウエアのスマート化をさらに進める方針だ。特に、3Dマシンビジョンの改良でロボットの正確性を向上させることや、ロボットアームのルート計画の最適化と障害物回避の機能を向上させることに力を注ぐという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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