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仮想現実(VR)デバイス大手各社は今、より解像度の高いディスプレー、より広い視野角、より快適な使用感を競って、技術開発に力を入れている。
中国の小派科技(Pimax)がこのほど発表した新製品「Crystal Super」は、世界初となる網膜レベルの超高精細ディスプレーを搭載したVRヘッドセットとして注目されており、視野角1度あたりのピクセル密度が57PPDに上る。
いわゆる網膜レベルのディスプレーとは、肉眼ではほぼ画素が識別できない高解像度のディスプレーを指す。PPD値が63以上になると、一つ一つの画素が見えにくくなり、リアルな世界と同じシームレスな画面が目の前に現れる。
Pimax創業パートナー兼総裁の張翀氏によると、Crystal Superはハイエンドゲームのユーザー向けで、すでに量産が始まっている。従来のVRヘッドセットを超える繊細さやリアルさは、ゲームの画質に高いレベルを求めるユーザーも満足させられるという。なお公式サイトによると、日本市場での発売は2025年第一四半期を予定している。
網膜レベルのディスプレーは、QLEDにミニLEDバックライトとマイクロOLEDを組み合わせる形が現在の主流だ。マイクロOLEDは高いコントラスト比と高精細表示を実現するが、生産コストが高いわりに良品率が低いため、普及にはまだ時間がかかる。一方、QLEDは色域が広くコストも比較的安いため、依然としてハイエンドなVRデバイスに採用されるケースが多い。網膜レベルのディスプレーでは、性能を確保しつつ、いかに価格を抑えるかが鍵となる。
Pimaxは非球面ガラスレンズで8K(両目)のディスプレーを採用し、解像度と視覚体験を向上させた。その上で開発のプラットフォーム化を進め、製品のエントリーモデルとハイエンドモデルの双方を開発できるようにすることで、ハイエンドVRデバイス市場での競争力を強化した。プラットフォーム化開発戦略により、製品のライフサイクルを5〜6年に延長できるという。
張氏は、Pimaxの強みは2015年の設立以来、一貫してデバイス開発に専念してきたことだと語る。同社はディスプレーやレンズ、アルゴリズムの最適化などの技術を着実に高め、他社に先駆けて4K、8K、そして網膜レベルのVRヘッドセットをリリースすることに成功した。
VRデバイス市場の競争は激しく、新鋭の「RayNeo」だけでなく、バイトダンスなどのテック大手も参入している。しかし張氏は、市場戦略や蓄積してきた技術が他社とは異なるため、ゲームの中でもフライトシミュレーターやカーレースの分野でPimaxのライバルになるような企業は現れていないと説明した。
Pimaxは、やみくもに市場拡大を追求せず、技術のブレークスルーや他社との差別化で競争力を確立し、持続可能なビジネスモデルを構築する方針だという。調査によると、同社のVRヘッドセットのユーザーの利用時間は1日平均2時間に上っており、ブランドに対する忠誠度もかなり高いことが分かっている。張氏は、Pimaxが「VRデバイス業界のDJI」となり、VRデバイスを人々の生活の一部にしていきたいと考えている。
(翻訳・田村広子)
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