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米アップルが中国電子商取引(EC)大手のアリババグループと提携し、中国で販売するiPhone向けに人工知能(AI)機能「Apple Intelligence」を共同開発することが分かった。
近年、中国では華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)など国産ブランドの人気が高まり、iPhoneのシェアは低下傾向にある。アップルは高度なAI機能を搭載し、シェア奪還を狙う考えだとみられる。
中国市場に特化したAI機能の開発は、アップルにとって重要な戦略的意味を持つ。調査会社Canalysは、中国は世界の三大スマートフォン市場(中国、北米、インド)の中でAIへの関心が最も高く、2027年までにAIスマホが市場全体の45%を占めるようになると予測している。
米The Informationによると、アップルは2023年から中国の複数の企業が開発したAIモデルをテストし、24年に検索大手の百度(バイドゥ)を主要パートナーに選定した。しかし、AIモデルの開発でバイドゥがアップルの基準を満たせなかったため、協業には至らなかった。
その後、騰訊控股(テンセント)や字節跳動(バイトダンス)、アリババのほか、最近大きな話題を呼んだDeepseekなど複数の企業を評価した結果、アリババとの提携が決定したという。ちなみに、Deepseekはアップルのような大手クライアントをサポートするための人員や経験が不足していたことから、最終的に候補から外された。
アリババは中国のAI業界をリードする企業の一つであり、独自の大規模言語モデル(LLM)「通義千問(Qwen)」が世界的に高い評価を得ている。1月29日に公開した新バージョン「Qwen2.5-Max」は、複数の権威あるベンチマークテストでトップレベルの性能を示した。
今回の提携により、アリババのLLMはiOSのシステムと高度に統合され、音声対話や画像生成、パーソナライズドレコメンドなどの機能に対応する見込みだ。アップルは、世界の個人情報保護基準に準拠してユーザーデータを管理し、中国向けにローカライズされたサービスとプライバシー保護の両立を図るとしている。
アリババのLLMを搭載したAI機能は、2025年4月のiOSアップデートと同時に提供が開始される見通しで、iPhone 16シリーズおよびそれ以降の新機種が対象となる。今回の取り組みでiPhoneが販売低迷から脱却できるかに注目が集まる。
(36Kr Japan編集部)
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