赤字経営からの脱却を目指すテスラ 自動運転ソフトをさらに値上げ

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米テスラのイーロン・マスクCEOは10月中旬、同社が最新ソフトウェアV10と無人の車を呼び出す自動運転機能「Smart Summon」をすでにリリースしたほか、自動運転ソフトウエア「FSD」を11月1日より1000ドル(約11万円)値上げすることをTwitterでツイートした。

値上げの情報が伝えられると、テスラ車のオーナーからは「今年の購入価格にはFSDの費用が含まれていた。昨年、より高価格だったテスラ車を購入したオーナーもいるが、彼らがさらに3000ドル(約33万円)支払う必要があるのはなぜなのか(編集部注:テスラはさらなる値上げに踏み切る可能性がある)」との疑問の声が上がった。

調べによると、テスラは過去にFSDの無料追加キャンペーンを確かに実施していた。またすでにFSDを購入済みのオーナーに対しては、FSDの無料更新を約束していた。

イーロン・マスク氏のツイッターのスクリーンショット

ユーザーの疑義に対し、マスク氏は「テスラは赤字を出し続けることはできない。環境に配慮した持続可能な成長目標を達成するには、テスラ自身が資金面で持続可能性を実現することが不可欠。さもなければ我々は終わりだ」と答えている。

テスラの公式サイトによると、FSDの値上げ前の価格は6000ドル(約65万円)となっている。

テスラは今年5月にもFSDの値上げを実施しており、価格は5000ドル(約54万円)から現在の6000ドル(約65万円)に上昇した。また本来8月にも値上げを予定していたが、V10のリリースの遅れに伴い、マスク氏はFSDの値上げを1~2カ月延期すると発表していた。今回、V10が10月に運用開始となったことで、FSDの値上げの日程も固まったというわけだ。

自動車オーナーの不満を買うリスクも顧みずさらなる値上げに踏み切った背景には、売上高に関するテスラの焦りがある。

今年に入り、テスラは世界市場での事業拡大を加速させている。モデル3の大量販売により、同社は欧州や中国での市場シェアを急速に拡大した。同社は今月初旬に第3四半期の決算報告を発表したが、販売台数は第2四半期の勢いを維持し9万7000台となった。マスク氏が予想していた10万台の大台は突破しなかったものの、第2四半期の9万5200台という販売台数から再び記録を更新したことになる。

とはいえ、販売台数は好調なものの、赤字は依然として拡大し続けている。その原因は非常に明確で、ミドルクラス車種であるモデル3の販売台数の割合が高すぎるためだ。グローバル市場での事業拡大の切り札であるモデル3は、利益率の高いモデルSとモデルXの販売台数を侵食し続けており、両モデルの第3四半期の販売台数はすでに減少傾向にある。

「売れば売るほど赤字」というテスラのこうした局面は第2四半期にすでに表面化し、下半期にはますます深刻化している。市場アナリストは、同社の第3四半期の売上高を昨年同期の68億ドル(約7400億円)より低い64億ドル(約7000億円)と予想していた。

ここ半年あまりの拡大路線により売上高が悪化し続けているテスラが、ソフトウェアの提供において金銭的側面を無視できるはずがない。

各種ソフトウェア機能のリリースに伴い、テスラはFSDなどの値上げを続けることで、自動車製造コストの一部を償却することができる。売上増および収益構造の最適化を狙い、テスラは今後ソフトウェアサービスによる売上を強化していくことが予想される。
(翻訳・神部明果)

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