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中国自動車大手の比亜迪(BYD)と、ドローン世界最大手のDJI(大疆創新)はこのほど、車載ドローンシステム「霊鳶(Lingyuan)」を発表した。自動車とドローンの一体化を実現した世界初の技術だという。
BYDは2016年から車載ドローン技術の開発を開始し、2024年には傘下の高級車ブランド「仰望(Yangwang)」のU8に初搭載。その後ユーザーフィードバックをもとに改善を重ね、2025年に霊鳶システムとして量産化され、BYDの全ブランドに展開するようになった。
霊鳶は、車の屋根部分に世界初の一体型ドローン収納庫を備える。ドローンの自動収納、バッテリー交換、充電管理の機能が備わっており、車載システムからワンタッチでの離陸や帰還、追従飛行(車両を認識して自動的に追従)などが実行できる。また、専用コントローラーで遠隔操縦も可能だ。
システムは「バッテリー交換版」と「高速充電版」の2種類がある。主に仰望ブランド向けのバッテリー交換版には、DJIのドローン「Mavic 3(御3)」を採用し、バッテリー交換が自動で行われ、切れ目なく長時間の飛行が可能となる。高速充電版には、「DJI AIR 3S」をカスタマイズしたドローンを採用し、「王朝(Ocean)」「海洋(Dynasty)」「騰勢(DENZA)」「方程豹(Fangchengbao)」などの車両に搭載される。なお、高速充電版の価格は1万6000元(約32万円)とした。
車載ドローンは、単なる移動型カメラではなく、「空飛べる助手席」として運転の安全を支えるアシストとしても機能する。例えば、自動車の上空から俯瞰できる視野を提供し、従来の車載カメラが捉えられない死角をカバーできる。前方に水たまりや障害物がある場合、ドローンを飛ばして事前に路面状況を確認することも可能だ。
また、旅行中にはドローンで周囲の風景をリアルタイムで撮影し、走行中の様子をVLOGとして収録・共有できる。システムには30種類の撮影テンプレートが内蔵されており、撮影後に車載モニターでワンタッチで自動編集され、直接SNSに投稿できる仕組みになっている。
性能面でも高水準を誇る。高性能な専用プロセッサーを搭載して高度な計算能力を持ち、4K映像のリアルタイムレンダリングと低遅延(200ミリ秒未満)の映像伝送をサポートしている。AIアルゴリズムと車載カメラを活用して、運航経路計画(障害物回避など)や、多視点映像撮影(旋回飛行、急降下、車両追従モードなど)を実現している。
さらに、最高時速25kmでの動的離着陸、最高時速54kmでの追従撮影が可能で、帰還距離は最大2kmに達する。充電モデルは100Wの急速充電に対応しており、30分で20%から80%まで回復する。
BYDの王伝福会長兼CEOは発表会で、「BYDとDJIの協業は、単にドローンを車に搭載することではなく、0から1への技術革新を経て、車とドローンを深く融合したシステムだ。最終的には『1+1=2』を超える相乗効果を生み出すことができた」と述べた。
*1元=約20円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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