TSMC、地域別で損益二極化。米工場で赤字拡大、南京工場は好調

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半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)がこのほど発表した2024年度年次報告によると、台湾以外の域外工場で損益の二極化が進んでいる。大陸の南京工場の収益は260億台湾ドル(約1040億円)近くに達した一方、米アリゾナ州の新工場の損失は143億台湾ドル(約572億円)近くに上った。

TSMCの最新の決算によると、南京工場が好調で、2024年の収益は259億5400万台湾ドル(約1038億円)と23年(217億5500万台湾ドル)(約870億円)を上回り、直近4年間の収益は800億台湾ドル(約3200億円)を超えた。

一方、米アリゾナ州の工場は24年の損失が142億9800万台湾ドル(約572億円)と、23年と比べ損失が33億7300万台湾ドル(約135億円)拡大し、直近4年間の損失は394億台湾ドル(約1576億円)を超えた。このほか日本工場は昨年43億7500万台湾ドル(約175億円)、欧州工場は5億5600万台湾ドル(約22億2000万円)の損失だった。

今年3月初め、TSMCは米国に1000億ドル(約14兆2000億円)の追加投資を発表した。三つのウエハー工場、二つの先進パッケージング工場および研究開発センターを建設し、近い将来、米国は台湾に次ぐ第2のグローバル生産拠点になる予定だが、台湾島内では技術の流出が懸念されている。

TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)は次のように指摘した。2025年は全体的に経済の不確実性が引き続き存在するが、主に人工知能(AI)関連の持続的な需要を受け、力強い成長を実現する見込みだ。企業のAI需要もまた今年の成長駆動力の一つで、TSMCを含む多くの企業がAIを利用して生産力、効率、スピード、品質、効果、利益を向上させている。

またTSMCは年次報告の中で、新工場建設で起こり得るリスクを次のように挙げた。▽工場拡大計画によるコスト増、複数の域外拠点と各類の原材料サプライチェーンの構築による生産力および製造効率への影響▽人手不足、サプライチェーンの切断および建設工事中の問題などが、工場建設のスケジュールに遅延をもたらし、それによって大幅にコストが増え、予定していた生産能力の拡張計画が達成できなくなる恐れなど。

台湾経済紙「経済日報」は21日の社説で次のように指摘した。TSMCの対米追加投資はコスト増、効率低下をもたらし、全体の売上総利益率を押し下げる。台湾、日本、ドイツ工場を押しのけ、米国工場の資本支出が台湾を上回り、技術流出のリスクが増加する。台湾に対する全体的な影響としては、産業チェーンの100を超える設備・材料メーカーも対米投資を拡大することで、台湾での半導体生産比率が半分まで落ち、米国との協力が対米依存に変わる恐れがある。【新華社台北】

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