ニーズ高まる中国医薬品安全性監視市場、ビッグデータでソリューション提供の「HOLOX」が急成長

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今年8月、中国の『薬品管理法』が改訂され、2019年12月1日より施行予定だ。今回の改訂では、今後国がファーマコビジランス(医薬品安全性監視)制度を構築すると明記しており、法律の側からファーマコビジランス市場を規範化させ、医薬品の安全性をさらに高めていくことになる。

先進国と比べ、中国のファーマコビジランスはスタートが遅いものの、発展は迅速だ。2017年にICH(医薬品規制調和国際会議)に加盟したことで、医薬品規制の国際化が進み、ファーマコビジランスも飛躍的な成長を見せている最中だ。

そのなかで「洞悉網絡(HOLOX)」のような医薬品の安全性監視を手掛ける企業も成長している。同社は2016年に設立され、AI、ビッグデータ、クラウド・コンピューティングによって、中国の製薬や医療機器メーカーに総合的、ワンストップ型、全ライフサイクルの安全性監視をSaaSの形で提供するプラットフォームだ。

洞悉網絡のCEOである劉欣毅氏によると、ファーマコビジランスはあくまで医薬品安全性の一環でしかない。新薬を上市させた企業が最も注目するのは薬品の安全性と、それによる企業への影響の有無だ。また、医薬品の適応拡大につなげる上市後研究も必要になる。したがって、製薬会社が必要なのは単なるファーマコビジランスだけでなく、産業チェーン全体に関わる安全性のサービスであるという。

洞悉網絡が提供するサービスは、独自開発したHoloXプラットフォームで行われる。その中には臨床試験からリアルワールドエビデンスまでの産業チェーン全体をカバーするサービスが揃っている。

劉欣毅氏によれば、洞悉網絡にはビッグデータを担当するチームがあり、業界のデータ収集、データクレンジング、アノテーションなどを行い、ルールベースを立ち上げる。各種プラットフォームはルールベースをもとにユーザーにソリューションを提供するという。具体的には、PC、モバイルアプリ、SNSの公式アカウントなどを通してクライアントのデータを集め、そしてAIコンピューター・クラスターで全世界のメディア報道、研究文献を検索し、学習していく。両者から得られたデータを突き合わせて安全性に関するメッセージを取り出し、リスクの有無を判断し、関連情報をクライアントに送信する形だ。

劉欣毅氏は、中国のファーマコビジランスや医薬品の安全性はまだ初期段階にあると考えている。目下中国の特徴は、医薬品や医療機器市場が非常に膨大である一方で、製薬会社や医療機器メーカーの規模が小さく、分散化している点が挙げられる。そのため、安全性の確保やファーマコビジランスにはまだ課題が多い。

現在中国で医薬品の安全性業務を手掛ける企業は3種類に分けられる。まずは外資系製薬会社やその関連会社の出身者による企業で、大規模な案件を得意とする。次に洞悉網絡のような中国国内で誕生した企業で、成長モデルを模索している段階だ。最後に、中国本土のCRO(医薬品開発業務受託機関)が従来のソフトウェア、ツールを使用して安全性監視を行うものだ。

洞悉網絡の売上高は2019年年末までに2000万元(約3億円)になると見込まれ、収支はトントンの状態だ。クライアントは100社以上あり、多くが製薬会社やCROだ。企業以外の重要なクライアントとして、各地方の薬品監督局が挙げられる。洞悉網絡は薬品監督局にクラウド・コンピューティング・プラットフォームやサービスを提供し、地方は同社のサービスを通して、所管地域内の医療機関での医薬品安全性を毎日モニタリングすることが可能だ。
(翻訳:小六)

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