ネットイース傘下「有道」CEOに独占インタビュー 米上場までの足跡と今後の戦略

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ネットイース傘下「有道」CEOに独占インタビュー 米上場までの足跡と今後の戦略

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中国インターネット大手「網易(ネットイース)」傘下でオンライン教育事業を手掛ける「有道(youdao)」が北京時間10月25日午後9時30分(日本時間同10時30分)、米ニューヨーク証券取引所に上場した。ティッカーシンボルは「DAO」で、米預託株式(ADS)1株当たりの公開価格は17ドル(約1800円)。ネットイース傘下で初の上場企業となった。

有道の設立は2006年。オンライン学習コンテンツ「有道精品課」やオンライン辞書「有道詞典」、オフィスワーク効率化アプリ「有道雲筆記」などのサービスを展開し、月間アクティブユーザー数(MAU)は1億人を超える。2019年上半期(1~6月)の売上高は前年同期比67.7%増の5億4900万元(約85億3400万円)だった。同社の周楓CEOが36krの独占インタビューに応じ、設立から13年間の道のりと今後の展望について語った。

――設立から10数年、何度か大きな方針転換がありました。現時点の立ち位置と今後の戦略についてお聞かせください。

検索サービスから始まり、ツールやソフトウエアを手掛け、電子商取引(EC)分野に転向した後、教育分野にたどり着き、「インテリジェント・ラーニング・カンパニー(Intelligent Learning company)」という自分たちの立ち位置をようやく確立することができたと感じている。「education(教育)」ではなく「learning(学習)」を強調した理由は、「学習」は一生続くものだという考えからだ。「教育」は主にK12(幼稚園~高校3年生)を対象としており、生徒たちは「プロフェッショナル学習者(professional learner)」だ。今後は「All in K12」に重点を置くとともに、学齢前の幼児向け商品や成人向け学習ツールなどの開発も続けていく。18年4月に戦略的資金調達を初めて実施してから、K12向けカリキュラムや技術開発にそれまで以上に力を注いできた。それから約2年の努力の甲斐もあり、今年上半期にはK12課金ユーザー数が前年同期から8割増え、平均MAUの総数は1億人を超えた。

――他のインターネット企業も教育事業を手掛けていますが、有道が今日を迎えることができた理由は何だと思いますか。

ここまでの道のりは、検索サイトの閉鎖やプラットフォームモデルの全面停止、その後の整理再編と、決して平たんではなかった。他のインターネット企業と比べ、うまくいった理由には以下の3点が考えられる。(1)若者向けのインターネット商品を作るのがもともと得意だったこと。何年も続けていくうちに、オンライン教育を利用するユーザーのニーズが分かってきた。(2)「品質」の重要性を早くから認識していたこと。考え方はネットイースのゲーム作りと似ている。ゲームは1つのタイトルで長時間遊べ、課金額も多い。われわれが目指すのもこのような学習商品を作ることだ。(3)ネットイースは消費型の企業で技術、コンテンツ、サプライチェーン全体の結び付きを重視していること。教育事業の根底にある考え方もこれと似ている。新規株式公開(IPO)は通過点に過ぎない。有道がここまで来られたのは、自分たちがやりたいと思い、自分たちに合っている事業に出会えたからだ。それが教育事業だった。しかも、この事業の成長ポテンシャルは高い。

――「オンライン学習体験は3年以内に必ずオフライン学習を超える」と以前おっしゃっていました。その根拠は何ですか。「超える」の定義も教えてください。

オンライン体験がオフラインを超える」とは、イノベーションを指している。商品のイノベーションは原動力の中心だ。われわれは半年に1度、商品のイノベーションを自らに課している。例えば、人工知能(AI)と一緒に学ぶ「AI互動課」は、小さなお子さんにとって、ライブ授業より楽しんで学べるもののようだ。オフラインの授業にも長所はたくさんあるが、進化の速度は遅い。それはちょうどフードデリバリーが小さな食堂に取って代わるのに似ている。

――現時点でのライバル企業はどこですか。

ニューオリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジーグループ(新東方教育科技集団)」と「TALエデュケーション・グループ(好未来)」だ。両社とも教育業界で長い年月をかけて確固たる地位を築いている。だが、われわれは「100%顧客中心」の企業を目指しており、競争にはそれほど固執していない。それに今のオンライン教育業界はまだ発展途上だ。「オンライン補習」や「オンライン学習」という概念が保護者に浸透していない。ユーザーの激しい奪い合いという現象は当分起きないだろう。

われわれは一貫して「best not first(最初ではなく最高)」を目指してきた。この点はネットイースからの「遺伝」だろう。丁磊(ウィリアム・ディン)CEOは多くの人から「どこそこの会社がとある事業でたくさん儲けた。焦らないのか」と聞かれるが、「自分とは関係ない。それは私のやりたいことではない」と答えてきた。われわれにとって重要なことは、ユーザーのニーズに合わせた商品を常に提供し続けることだ。それが企業にとって最も意義のあることだと考えている。自分たちのスピードやリズムを省みることは当然あるが、品質やイノベーションを捨ててまで追求したいとは思わない。

――今年の夏休みから、各オンラインスクールのユーザー獲得に向けた動きが活発化しています。「All in K12」という目標を掲げる有道が、この流れに乗ろうとしないのはなぜですか。

われわれも活動はしており、まずまずの成果を上げている。もう少しスピードやリズムを上げることも検討しているが、商品の品質確保が大前提だ。オンライン教育のようなコンテンツビジネスは評判のいい商品をゆっくりと作っていく必要がある。K12向け事業の将来性については楽観的に見ている。わずか2年半とはいえ、中学生向け物理や英語などのコンテンツはいずれも高いネットプロモータースコア(NPS、他人への推奨度)を得るまでになった。オンライン教育業界の本質はネットワーク効果の強さでは測れない。そのため、目の前のユーザー規模はわれわれにとって最も重要なことではない。
(翻訳・鈴木雪絵)

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