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中国国家薬品監督管理局(NMPA)が、軽度から中等度のアルツハイマー(AD)治療薬の販売を条件付で承認した。「上海緑谷製薬(Green Valley)」、「中国海洋大学(Ocean University of China)」、「中国科学院上海薬物研究所」による共同開発で、商品名は「Oligomannate(GV-971 / 九期一)」だ。
11月7日には Oligomannateの生産が開始され、12月29日までに中国全土で入手可能となり、来年には販売後調査が始まるという。上海市浦東新区が新薬生産のために約2.7haの土地を提供しており、年内に着工、3年後には患者200万人分の薬を供給できるようになる見通しだ。
2002年から、86種類ものAD治療薬の開発が頓挫し、この間に承認された新薬は一つもない。薬理の不明確さや試験データの判断保留などで論争はあるものの、Oligomannateの承認はこの17年間の空白を埋める快挙である。
全世界がAD治療薬の完成を待ち望んでいる。世界には5000万人のAD患者がおり、増加の勢いはとどまるところを知らず、2050年には1億5000万人に達すると見込まれる。世界中で3秒に1人がADと診断されている計算だ。中国でもAD患者は1000万人を超え、世界最多となった。
ADの特効薬が開発されれば、年商10億ドル(約1100億円)のブロックバスターとなるだろう。これまで世界中の製薬会社が研究開発に莫大な資金を注ぎ込み、頓挫してきた。製薬業界のトップランナーも例外ではない。しかし、どれほど困難だとしても、市場の巨大な空白と高齢化社会の進行によるプレッシャーによって、AD新薬の探索と巨額の資金投資は継続されている。
新薬開発以外のADソリューション
米Smart Brain Agingは認知症の心理療法としてよく用いられる「回想法」と類似の仮想オンラインサービス「Brain U Online」をリリースした。同サイト上で提供される演習課題は2万以上、作業速度、記憶力、集中力などの認知スキルに対応するようにそれぞれ設計されている。しかし、この療法は重度のAD患者には効果が乏しい。
韓国のベンチャー企業「Ybrain」製造のAD治療用スマート・ヘッドバンドは、内側のセンサから出る2mAの電子的信号により脳を刺激する。このデバイスを一日に30分装着すると老人性認知症の症状を緩和できる。昨年8月には 、米「Dthera Sciences」製造の「DTHR-ALZ」が、米食品医薬品局(FDA)により、AD神経認知障害の興奮と抑うつ症状を緩和する画期的なデバイスとして認定された。
他にも、幹細胞治療は、前臨床モデルではADへの実用化が見込まれているが、さらなる研究が必要である。このほか、ADワクチンも話題になっている。今年6月、ニューメキシコ州立大学(UNM)は、ADではないが、前頭側頭型認知症(FTD)のタウたんぱく質凝集を軽減できるrTg4510マウスの開発に成功した。しかし、研究者も人用のADワクチン開発には少なくとも後10年はかかると認めている。
(翻訳・永野倫子)
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