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中国中部の河南省では近年、洛陽市、鄭州市、開封市の3都市を中心に、完成車の製造からバッテリー生産、部品供給までを網羅する新エネルギー車(NEV)産業地帯の形成が急速に進んでいる。
洛陽市では、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の第1期工場が全面稼働している。世界に13カ所ある同社の主要生産拠点の一つで、高い自動化率を誇り、バッテリーセルの不良率は10億分の1以下とされる。現在の年産額は約50億元(約1000億円)だが、全体の建設が完了すれば1000億元(約2兆円)規模に拡大すると見込まれ、関連産業全体で2000億元(約4兆円)の生産をけん引するとの試算もある。
鄭州市では、電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が、中国国内で最大の面積を誇る完成車生産拠点を設立。完成車に加え、バッテリーや主要部品の製造体制も備える一貫生産体制を構築している。昨年の生産台数は前年比2.7倍の54万5000台に上った。上海汽車集団も市内に同社最大の乗用車生産拠点を構え、年間60万台の完成車、60万基のエンジン、30万セットのバッテリーを生産する能力を有する。データセンターや輸出のハブとしての機能も担っている。
開封市では、奇瑞控股集団が本社のある安徽省蕪湖市以外で唯一となる、乗用車と商用車の生産・研究開発・輸出を一体化した完成車拠点を設立している。今年は新型車と改良車を合わせて10車種以上の投入を計画している。
鄭州市中牟県と開封市尉氏県にまたがる「鄭開自動車部品産業地帯」には、多くの部品メーカーが集積。近隣の完成車工場に部品を供給し、サプライチェーン(供給網)全体の応答性を高めている。さらに鄭州国際陸港(ランドポート)は、欧州向けの完成車を対象とした直通の鉄道物流サービスを提供する拠点として機能している。
河南省工業情報化庁によると、現在、省内には一定規模(主要事業の年間売上高2000万元(約4億2000万円))以上の自動車・部品関連企業が600社以上あり、原材料から主要部品、完成車、モノのインターネット(IoT)までを網羅する、新エネ車産業の整ったバリューチェーンが形成されている。
同省は「第14次5カ年規画(2021~25年)」期間中に1兆元(約20兆円)規模の新エネ車産業クラスターの構築を目指している。24年の新エネ車生産台数は68万1000台、輸出は1万台に上り、いずれも同期間の初年と比べて大幅な増加となった。【新華社鄭州】
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