事業の意思決定をデータ主導に 汎用化BIが活況

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事業の意思決定をデータ主導に 汎用化BIが活況

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2019年の企業向けサービス市場を振り返ってみると、汎用型サービスやクラウドサービス以外で最も多くの資金が流れ込んだのがビッグデータ関連だ。投資ラウンドとしてはシリーズB以降に集中し、同分野がある程度成熟してきていることがみてとれる。

データ提供:産業関連データ分析プラットフォーム「鲸准洞見(JINGDATA)」

「中国首席数據官聯盟(Chief Data Officer Alliance、最高データ責任者連盟)」創始者の劉冬冬氏によると、中国におけるビッグデータ関連企業は2005年時点では1000社にも満たなかったが、今年には7000社を超えるまでになっている。生産額でみると、2005年は1億元(約15億円)に満たなかったものが今年は8000億元(約12兆3000億円)を突破している。人的リソースでは、全国1200校のうち約5分の1の高等教育機関が中国教育部の認可を受けてビッグデータ関連の学科を設けている。

一つの業界の成熟度を測る指標はさまざまだが、市場需要や製品の完成度、人的リソースの充実度などの条件が一定以上に揃えば、自然と次段階へステップアップしていくものだ。

BI(ビジネス・インテリジェンス=組織経営を支援するデータ運用)に特化したデータ視覚化・分析サービスを手がける中国の企業「永洪商智科技(Yonghong Tech)」は、市場がある程度成熟してきたことを鑑み、自社製品の大幅な転換を図った。データレイクを基盤とした企業データ管理から分析プロセスのみを独立させ、デスクトップ用分析ツール「Yonghong Desktop」として発表したのだ。企業従業員にとって、データから事業構想を得る可能性を大きく広げるものだ。

「これまで多くの企業が用いてきたデータはエンドユーザーが使える仕様にはなっておらず、データの運用結果を閲覧するにとどまっていた」。永洪商智科技の創業者でCEOの何春涛氏はこう説明する。

データ分析関連の人材が不足し、自社でデータ運営や分析を行えない企業にとっては、BIは「結果」だけを示すプロジェクター画像のような役割に留まることが多く、これを取り扱うのは意思決定権を持つ者に集中していた。BIの活用方法が真にあるべき意思決定のプロセスからはほど遠いうえ、コスト削減や効率向上の必要に迫られた企業にとっては、BIは真っ先に排除の対象になってしまう。BIの持つ商業価値が十分に発揮される以前に、技術的なボトルネックに突き当たってしまうのだ。

「多くの企業でプライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなどが導入済みとはいえ、クラウド上での処理時に相互干渉が起こってしまうという課題も残っている。永洪商智科技はこれまで、階層化処理、内蔵メモリの拡張、分散コンピューティング、ベクトル演算などによって解決を試みたが、根本的な解決には至らなかった」と何CEOは述べた。

演算上の相互干渉を解決するために同社が導きだした最適解が、データレイクだ。

「データレイクを基盤とすればデータの管理や制御はより簡単になり、それぞれの法人顧客に資産としてのデータを届けることができる。さらにデスクトップツールを通じて、個々の従業員がデータから価値を掘り起こせるようになる。もちろん、多くの企業従業員はITや統計・分析のスキルを持ち合わせていない。従って、より強化された分析ツールを提供する必要があった」と何CEOは説明する。

Yonghong Desktopはデータ取得・管理・探索・視覚化・分析・共有・コラボレーションなどの基礎的機能を備え、月額200元(約3000円)以内で利用できる。海外製品の半分以下の価格だ。

Yonghong Desktopが制作したレポート

Yonghong Desktopは、従来の製品が企業向けのみを想定して開発されたのとは異なり、個人でも利用できる汎用型だ。何CEOは「世界で最も多く利用されている定額ソフトはMicrosoft Office』だ。また、米タブローソフトウェアの収入で約7割を占めるのが『Tableau Desktop』だ。デスクトップ向けの製品は現在の一大トレンドと言える」と述べている。企業によってデータ分析能力にバラつきがあるが、外資系企業や金融業、製造業など競争の激しい業種、Eコマース、ゲーム、小売などいわゆる「ニューエコノミー」系の業種は、比較的高度な運用能力を有しているという。

永洪商智科技の顧客企業は、金融、通信、小売、電力、交通、行政などの業種が多く、中核を成すのは金融、製造、小売、エネルギー関連企業で、今年になって医療関係も多くなっているという。

Yonghong Desktopの分析強化ツール

同社の有料ユーザーは累計5000社以上で、大企業だけでも300社を超え、9割以上が契約更新を行っている。

「大規模な企業ほど、BIの活用によってより多くの価値を創出している」として、何CEOはある大型スーパーマーケットを例に挙げた。最も高い販促効果を挙げた商品ジャンルを割り出したり、ターゲット層である中高年の顧客に対して最大限に消費意欲を刺激したりなど、BIを存分に活用しているという。

「事業とデータを融合すれば、データの分析と活用が存分にできるようになる」というのが同社の理念だ。

BI分野では今年、二つの世界的な買収案件があった。6月にグーグルがBI系のビッグデータ分析プラットフォームLookerを26億ドル(約2800億円)で買収したほか、CRM(顧客管理)システムを手がける米セールスフォース・ドットコムがタブローソフトウェアを157億ドル(約1兆7000億円)で買収している。BIは企業情報のデータ化を担う重要な部分であり、その製品形態は比較的独立しており、開発のハードルが高いうえにコストもかかる。そのため、BI分野の企業は早くから独自の成長を遂げてきたが、ここに来てCRMを手がける企業と結びつくのは自然の成り行きといえるだろう。
(翻訳・愛玉)

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