格安・超小型・省電力、使い捨ても可能なセンサーで飛躍するIoT 中国主導の業界連盟も

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格安・超小型・省電力、使い捨ても可能なセンサーで飛躍するIoT 中国主導の業界連盟も

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IoTソリューションプロバイダー「縦行科技(ZiFi Sense Info Tech)」がシリーズB1で8000万元(約12億5000万円)を調達した。出資を主導したのは滙禾資本(Remit Capital)、合創資本(VINNO CAPITAL)で、既存株主の雲喩投資管理(Yunyu Investment)も出資に参加した。財務顧問は浪潮資本(CHAO CAPITAL)が単独で務めた。

2013年に設立された同社は、低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)の通信規格「ZETA」を独自開発した。アンライセンス方式のプロトコルで、超狭帯域(UNB)のマルチチャンネル通信、メッシュネットワークによる分散型アクセス、ローパワーでの双方向通信を実現する。大規模に敷設すれば、ZETAの導入コストは同じくLPWANの通信規格であるLoRaの5分の1、またNB-IoTの20分の1で済む。

縦行科技はこうした技術を基盤として、IoT産業チェーンの川上・川下各所に点在する国内外の企業と提携し、業界を越えたグローバルな「ZETAアライアンス」を構築している。メンバーは主に日本・中国の通信、IoT、チップ関連の一流企業が名を連ねる。通信基地局を手がける「中国鉄塔(CHINA TOWER)」やチャイナモバイル傘下の「中国移動物聯網(CMIOT)」、半導体を手がける「広心微電子(UNICMICRO)」、「粤芯半導体技術(Can Semi Technology)」や、NTTドコモ、ソフトバンク、NEC通信システム、ソシオネクスト、凸版印刷などだ。

ZETAアライアンス

同社はZETAの他にも、アライアンスのメンバー企業と共同でボトムチップ、ターミナルモジュール、無線設備、業務管理プラットフォーム、業種別の応用ソリューションなどを開発し、アライアンスのメンバーに販売している。

昨年10月、同社は最新バージョンの広域センサーラベル「ZETag」を発表した。資産管理やトレーサビリティ、ID識別、特殊トラブルのレポートなど広範囲に導入できるうえ、超低コストで超小型、プリントバッテリーで稼働するなどの特性から、使い捨てやリサイクルが可能な点がメリットだ。

縦行科技の李卓群CEOはその用途について、「ソフトPCB(プリント基板)を用いたセンサーラベルZETagはセンサーの導入シーンを大幅に広げ、耐久消費財から消耗財にまで導入できるようになった。工業分野における資産管理、物流分野における物品や容器の移動状況の可視化、都市空間における危険廃棄物管理および医薬品分野における医療廃棄物の保管・処理状況の把握などに用いることができる」と説明している。さらに同製品を「LPWAN2.0を代表するもの。LPWAN2.0はさらなるコストの削減、さらなる定着化を意味する」と定義している。

製品の活用については、現時点で主にIoTによるスマートビルディングや物流容器の管理に重点を置いている。

スマートビルディングは建物そのものに加え、弱電設備室、強電設備室、地下機械室など複雑な空間構造を持つ機械室や生産環境を想定したものだ。ZETAトランシーバで接続し、バッテリーで電気を供給し、プラグアンドプレイで使用可能なスマートセンサーにエッジコンピューティング機能を持たせており、IoTプラットフォームを通じて管理を行う。建物巡回点検の無人化を推進し、オフィスビルやホテル、空港、工場などで実用化されている。

一方、物流容器の管理は、無線広域クラウドラベルの典型的な導入シナリオだ。パレット(荷役台)やプラスチックコンテナなどの物流資材は数が多く、繰り返し使用し、かつ広範囲に移動させるという性質を持つが、仮にこれらにIoT機器を取り付け、それぞれにバッテリーを装填するとすれば、本来なら導入コストの問題が見逃せない。そこで縦行科技は、超低コストかつ手軽に導入できる同社のセンサーラベルを大手宅配便企業に提供し、貨物のトラッキングサービスに活用することで高付加価値を生み出した。今後3年で端末数は300万件を超える見込みだ。あるEコマース企業では全国規模でパレットの位置管理を可視化させた。

中国商務部によると、2016年末時点で中国の物流市場が保有するパレットは11億5000万枚に達し、かつ年14%のペースで増えている。現在ではパレットのシェアリングサービスも成長しており、そのレンタル枚数は保有枚数よりも速いペースの年25%で増加し、2020年末には5000万枚に達する見込みだ。

中国国家統計局が昨年発表したデータでは、同年の中国における宅配便取扱件数は507億件だった。500億件もの貨物の中には重要な物品も多く含まれている。もしこれらに低コスト・低消費電力のセンサーラベルを添付してトラッキングを行えば、輸送の安全性が高まる。

つまり、縦行科技の端末ソリューションを大別すると、耐久消費財をスマート化するデバイス、および消耗財向けの低コストデバイスの二つになる。

業界団体GSMアソシエーションの予想では、IoT接続件数は2025年にも全世界で252億件に達し、市場規模は1兆1000億ドル(約119兆7000億円)となる。またIoT市場で最も重要な技術の一つがLPWANであり、こちらは年平均90%のペースで急成長している。複数の研究機関では、将来的に広域IoT通信の60%でLPWANが採用されるとみている。

縦行科技は従業員50人余りの組織で、上海、アモイ、東京、英ケンブリッジに拠点を持つ。創業者の李卓群CEOは英インペリアル・カレッジ・ロンドンで省電力センサーネットワーク分野の博士号を取得し、英PA Consultingや米モトローラで経験を積んだ人物。その他の中核メンバーはファーウェイやZTE(中興通訊)など国内の通信設備大手の出身だ。(翻訳・愛玉)

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