ファーウェイのスマートシティへの取り組み 「プラットフォーム提供者に徹する」

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世界最大級のスマートシティ見本市「Smart City Expo WORLD CONGRESS(SCEWC)」が11月19~21日にスペインのバルセロナで開催された。世界146カ国の700都市以上から1000社超の企業や機関が参加し、来場者数は2万5000人に上った。

なかでもファーウェイのブースは相当な熱気に包まれており、同社のスマートシティデジタルプラットフォームの構築や基礎技術に対し、スマートシティ計画に携わる各国の当事者たちは大きな興味を抱いていた。36Kr Globalはファーウェイのスマートシティソリューション事業部の総裁を務める康寧氏に取材し、中国および世界におけるスマートシティの発展に対する考えを聞いた。以下はその内容を編集したものである。

写真提供:ファーウェイ

ファーウェイはこれまで8年間にわたり、顧客企業に対するスマートシティ関連サービスを提供してきた。市場シェア拡大に伴い、単なるサプライヤーではなく市場をリードする役割をも担うようになっており、都市サービス、交通、工業団地、警察および行政サービスという5つの基幹分野で力を発揮し続けている。

スマートシティにとって最も根本的かつ基礎的な土台となるのが、都市から収集する大量のデータの処理・演算能力だ。データの処理・分析能力が都市の意思決定の効率や正確性にダイレクトに影響してくる。大局的には、中国のこうした分野でのソフトウエア開発能力は海外に比べいまだにやや劣っている。中国市場はこれまで相対的に分散していたため、市場を統合するソフトウエア産業が現れていないが、これは技術構造や根本的な考え方と関係している。

しかし、中国の爆発的なポテンシャルには大いに期待できる。現在では各企業や市場が統合やデータ連携の重要性に気づいており、技術面でも絶え間ないブレイクスルーが図られてきた。さらにはスマートシティ事業に乗り出す企業も増え、現在では基礎技術や演算能力を主とするファーウェイ、端末でのユーザー体験の設計や製品を主とするテンセント、クラウドコンピューティングやミドルウエア戦略を主とするアリババなどが参入し、各社独自の特色や優位性を生かしている。

ファーウェイの「沃土都市デジタルプラットフォーム」

ファーウェイは中国最大の半導体開発力、演算力、ネットワーク接続力を有する企業として、スマートシティのエコシステムとなる「沃土都市デジタルプラットフォーム(Horizon Digital Platform)」を構築した。すでに世界40カ国・地域の200都市以上に住む4億人にサービスを提供しているほか、6000人以上のスマートシティシステム開発者がこのプラットフォームを利用している。

スマートシティは一つの大きなエコシステムであり、川上・川中・川下の大勢の関係者によって構築されるものだ。ファーウェイはその中でも技術とプラットフォームの提供者としての役割に徹し、技術活用シーンでの開発には関わっていない。エコシステムの協力パートナーはファーウェイのプラットフォームを利用しつつも、市場における自社の利益を確保できている。

このほか、ファーウェイは政府がスマートシティプラットフォームシステムを構築する支援も行っている。政府がサードパーティーの事業者に頼ることなくスマートシティを独自に運営できるようサポートしているのだ。スマートシティのプラットフォーム上では、全ての企業・機関が平等に共生しており、基礎技術と演算能力の提供者(ファーウェイ)、都市全体の運営者(政府)、エコシステム上のアプリケーションソフトウエア開発者が一丸となり、交通、医療、治安など多種多様なシーンに特化したソリューションの開発を行っている。

SCEWCでは中国のほか複数国のスマートシティの実例が取り上げられていたが、中国の運営理念は他国とは明らかに異なる。欧米諸国はスマートシティを推進する際、小さな政府が主流となっており、小さな民生問題を個別に解決することから始まる。例えばAIを活用した街灯や駐車システムなどだが、市民はこうした変化をより直接的かつ速やかに実感することができる。一方で中国ではスマートシティの計画がトップダウンで大規模に展開されるのが特徴であり、渋滞解消や治安改善など、人々が効果を実感し恩恵が行き渡るまでにはより多くの時間がかかる。どちらが優れているというわけではなく、いずれも各国の状況に合った方法であるといえる。
(翻訳・神部明果)

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