5G時代の足慣らし 携帯メーカーとチップメーカーそれぞれの市場争奪戦

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5G時代の足慣らし 携帯メーカーとチップメーカーそれぞれの市場争奪戦

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米クアルコムのSoC「Snapdragon 865」と「Snapdragon 765/756G」が発表され、中国のスマホメーカーOPPOとシャオミ(小米科技)は互いにしのぎを削っている。発表同日、まずOPPOが旗艦モデルでSnapdragon 865を、また「Reno3 Pro」にSnapdragon 756Gを初搭載すると宣言した。シャオミも間髪を入れず、「小米10(Mi 10)」にSnapdragon 865を、またサブブランドRedmiの「K30」シリーズにはSnapdragon 756Gを搭載し、他社に先んじて発売すると発表した。5Gスマホをめぐる戦いはすでに始まっている。

最新チップの奪い合いは携帯メーカーの慣例となっている。クアルコムは依然として携帯メーカー各社が最も手を組みたいチップメーカーだ。とはいえ、韓国サムスンや台湾の半導体メーカー「メディアテック(聯發科技)」の参入によって5Gスマホ用チップをめぐるメーカーの勢力図は複雑さを増しており、各携帯メーカーも異なる相手とタッグを組み始めている。

携帯メーカーの5G合戦

携帯メーカーがこれほどまで新たな1年に期待を抱いたことはかつてなかった。4Gスマホ市場はすでに終息に向かっており、各携帯メーカーの幹部は、2020年が「5Gスマホ元年」となるとの見方を次々に示している。今回の5Gスマホ合戦は4Gスマホに比べペースが早まっており、携帯メーカー各社は機先を制するためすでに5Gスマホの発売を開始している。

価格合戦もすでにスタートしており、vivoの「iQOO」シリーズでは初めて4000元(約6万2000円)以下の5Gスマホを打ち出したほか、ファーウェイのサブブランドhonorはデュアルモードの5Gスマホ「V30」の価格を3000~4000元(約4万7000~6万2000円)に抑えた。OPPOの呉強副総裁は、2020年の夏季までに2000~3000元(約3万1000~4万7000円)の5Gスマホが、さらに同年末までには1500~2000元(約2万3000~3万1000円)の機種が登場するとの見方を示している。

だが、携帯メーカーは状況を楽観視しすぎている。5G利用料は短期的には大幅に下がることはないため、多くのユーザーはなお様子見の状態だ。さらに基地局の敷設も不十分であり、スマホの機種買い換えの波はそう早く訪れないと考えられる。

仮に波が早く訪れたとしても、現在の構図に目を向けると、ファーウェイはSoCを自給自足できるほか、5G時代には必ず他社より優位に立ち、他社のシェアを奪うとさえアピールしている。このため、シャオミ、OPPO、vivo間の競争は買い換えブームに先立ちさらに激しさを増すだろう。

チップメーカー新旧勢力の戦い

5G時代のスマートフォンは、カメラ機能や充電機能ではこれ以上画期的な技術を打ち出せないため、シャオミ、OPPO、vivoはまずはチップにより他社との差別化を図っていくほかない。

シャオミはメディアテックとの連携を再び深めている。RedmiのK30 Proにメディアテックの5G対応SoC「Dimensity(天璣)1000」が搭載されるとのスクープもあった。このDimensity 1000はメディアテックにとって期待の星であり、5Gモデムが統合されているほか、5G通信ではSA(スタンドアロン)とNSA(ノンスタンドアロン)の両方に対応したデュアルモードをサポートしている。業界専門メディアの報道によれば、メディアテックはすでに顧客に対し販売価格を提示し始めており、価格はかつて専門家が予想した50ドル(約5400円)を上回る70ドル(約7600円)に達しているという。

5G時代の到来に際し、メディアテックが再びハイエンド市場への参入を狙っていることは明白だ。同社のチップはこれまで「コストパフォーマンス」の代名詞とされてきたからだ。ミドルレンジ機種向けSoCである「Helio P60」の価格は最高でも14.7ドル(約1600円)にとどまっており、シャオミの雷軍CEOによれば、Helio P60と同じ位置付けにあるクアルコム製「Snapdragon 660」の価格は160元(約2500円)に達する。

クアルコム台頭の大きな鍵は、同社のチップが旗艦モデルに標準搭載されたという点にあった。今回もしメディアテックのDimensity 1000がRedmiのK30 Proに搭載されることが確定すれば、同社のブランド力は多少なりとも底上げされることになる。またRedmiも、いち早く幅広い価格帯のモデルを揃えることができる。

一方でサムスンは、チップの価格引き下げにより販売数を狙う作戦に出ている。同社のチップの価格はクアルコム製チップを大きく下回っており、ある業界関係者の話では、クアルコムの5G対応Snadpdragon 7シリーズの提示価格はサムスン製チップの2倍だという。

4G時代、サムスンのSoC「Exynos(エクシノス)」の影は薄かった。米国や中国のモデルにはクアルコム製チップが、また韓国や欧州のモデルのみ自社のExynosが搭載されたが、その理由はサムスンがクアルコムの保有する通信特許の制約を受けていたためだ。Exynosのモデムは全ての通信ネットワークに対応していなかった。

しかし5G時代に入り、サムスンはクアルコムの影響からの脱却を図っている。同社がファーウェイに先んじて発表した世界初の5Gモデル内蔵SoC「Exynos 980」は、vivoの5Gスマホに搭載されることになった。

メディアテックとサムスンの動きに対し、クアルコムはやや焦りをみせている。待望のSnapdragon 865と765はようやく発売となったものの、意外にもフラッグシップ向けのSnapdragon 865ではモデムが外付けとなり内蔵されなかった。一方でミドルレンジ向けのSnapdragon 765はモデムを内蔵した初のSoCとなっており、一定の市場シェアを早急に獲得したいクアルコムの意向が見て取れる。

クアルコムが慌ててSnapdragon 865を発表した裏には、チップメーカー新勢力によるプレッシャーがある。同社チップの価格は高額なことで知られているが、これは有力な特許技術や性能に裏打ちされたものでもある。とはいえ、5G時代に入り、携帯メーカー各社はコスト面での対策あるいはイニシアティブを握りたいとの考えからチップの自主開発を始めている。スマホメーカーとチップメーカー、両者の関係性の深まりと共に、勢力図にも変化が生じている。

シャオミとOPPOは激しい火花を散らしているが、デュアルモードの5Gスマホが発売されて初めて勝負の行方が見えてくるだろう。2020年は各メーカーにとって、きわめて重要かつ予測困難な1年となるに違いない。
(翻訳・神部明果)

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