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アリババ系列の信用スコアリングサービス「芝麻信用(ゴマ信用)」は、高スコアのユーザーにはホテルのデポジットを不要とするなどの優遇サービスを行っているが、テンセントのメッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」も関連サービスを始めたようだ。
具体的には、WeChatミニプログラムからのホテル予約、会員カードサービス、WeChatの信用スコア「WeChat Pay Points(微信支付分)」、WeChat内検索、スマート運営、顔認証決済など6つのツールでホテルの運営効率向上をサポートする。
ユーザーはWeChatを通して顔認証、QRコードのスキャン、デポジット不要サービスを利用することができ、スピーディーなチェックインが可能となる。料理の注文や問い合わせ、チェックアウトや領収証の発行などあらゆる件に関してミニプログラム上で直接ホテルとやり取りできるという。
ホテル側は人件費を削減でき、運営効率を上げることができる。またWeChatに顧客セグメントデータや会員データを蓄積したり、WeChatペイのデータ分析サービスを利用することもできる。
万達集団(ワンダ・グループ)傘下の「万達酒店(WANDA Hotels)」ではWeChat Pay Pointsが600以上であれば宿泊の際にデポジットは不要だという。しかしWeChatを利用して最も成功したホテルブランドといえばやはり「亜朵酒店(Atour Hotel)」だろう。同ホテルは2017年からWeChatの公式アカウントなどコンテンツエコシステムの運営に力を入れ、亜朵ブランドの構築とファンの運営などで高いコンバージョン率を実現している。現在、同ホテルの予約済件数のうちWeChatミニプログラムからの割合が最多で、ミニプログラムの登録ユーザーは40万人を超えている。ほかのチャネルと比べるとミニプログラムは運営コストが最も低いプラットフォームだ。
WeChat Pay Pointsはテンセントがクレジットライフを構築するための一環とも見てとれる。しかし2年前から敷金なしの不動産賃貸サービスなど大規模にプロモーションを行ってきたアリババのゴマ信用と比べると、WeChat Pay Pointsはいくらか遅れをとっているように見える。WeChat Pay Pointsは今年に入ってからモバイルバッテリーのレンタルサービスやホテルなどのシーンで少しずつ試験運営を開始してきた。ユーザーの多くは今もWeChat Pay Pointsがどこで確認できるのか知らず、イベント会場などで初めてその存在を知るユーザーもいるくらいだ。
例えば今年の3月、WeChatはデポジット不要のモバイルバッテリーレンタルの内部テストを行ったが、ユーザーはサービスを利用するときに初めて自分のWeChat Pay Pointsがいくらかわかるといった具合だ。
信用モデルを整備してから、WeChatはようやくモバイルバッテリーのレンタルを経てホテルのデポジットに踏み切った。これについてWeChat側は「我々は消費者にも企業側にも迷惑をかけることはない。信用商品はもしも権限と責任の所在が不明であれば簡単に踏み倒されてしまう。5つ星ホテルのデポジットは3000~4000元(約4万5000~6万円)にも及ぶが、もしユーザーが違反行為をした場合に事業者に過失がなければWeChatが弁償する」としている。
このほか、旅行においてもWeChatはすでに雲南省政府と「華僑城集団(OCTグループ)」とともにスマート観光地プロジェクトを始動している。現在、WeChat Pay Pointsを導入している事業者はまだ多くない。しかしWeChat Pay Pointsには、10億人ものユーザーを持つWeChatという大きな後ろ盾があり、またショッピングセンターやキャンパス、病院、飲食店、ベビー・マタニティやコスメを扱う店舗などのシーンに浸透するようプロモーションを行っているところだ。
アリペイに比べると、WeChatペイ最大の強みはテンセントのソーシャル属性だ。その分、どんな小さな試みもユーザー体験をおろそかにすることができない。これがWeChat Pay Pointsの普及がスローペースである理由かもしれない。
(翻訳・山口幸子)
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