J&Tエクスプレス、CEOが語る「4年でインドネシア最大級の物流会社になった理由」

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J&Tエクスプレス、CEOが語る「4年でインドネシアにおける宅配最大手になった理由」

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インドネシアの宅配最大手「J&T Express(J&Tエクスプレス)」CEOのRobin Lo氏は、かつて中国大手スマホメーカー「OPPO(オッポ)」インドネシアのゼネラルマネージャーを務めていた。しかし、息の長いビジネスを手がけたいと2015年に同社を設立。

スマホメーカーは移り変わりが激しい。一方で米DHL、UPS、フェデックスや多くの中国系物流会社は20年以上存続している。当時、モバイル業界に身を置いていた同氏は、電子商取引(EC)向け物流事業に商機を見出した。

現在、インドネシア全体のECによる貨物取扱数は1日当たり300~400万件で、このうち約100万件を同社が請け負っている。老舗宅配会社を横目に、わずか4年でインドネシア最大手へと成長を遂げた。

成功の秘密はOPPOとの関係と「運」だったという。

スマホ出荷量がインドネシア市場第1位のOPPOのネットワーク(人脈)が、同社のインドネシア進出と東南アジア向け事業拡大のハードルを下げた。そのうえタイミングよくEC産業の発展にともなって、宅配ニーズが急激に伸びたのだ。

Robin氏はインドネシア華僑3世で、中国とインドネシアの思考をバランスよく持ち合わせている。中国でよくみられる資金力に任せた市場戦略が、インドネシアで通用すると思ってはいないという。

同社とOPPOの関係、インドネシアのEC業界と物流、中国とインドネシアの市場の違いをテーマに同氏を単独取材した。インタビュー内容は以下の通り。

OPPO、EC大手「アリババ」と宅配のインドネシア最大手

――J&TとOPPOの関係について教えてください。

「密接な関係にある。OPPOは我々の最も大きな取引先のひとつで、OPPOインドネシア前CEOのJet Lee氏は、J&Tの創業者兼株主だ」

「OPPOのネットワーク(人脈)によって、インドネシアにおける事業展開を加速することができた」

――J&Tエクスプレスは中国の物流大手「順豊エクスプレス(SF Express)」のインドネシア版であるとたとえられることがありますが、そう思いますか。

「それは違う。我々の料金はそれほど高くない。インドネシアの宅配料金はかなり安く、我々はこれを適正な価格にまで引き上げようとしている。会社が長期的視点で健全な経営を行うために、安売りはしたくない。当初は『JNE Express』が唯一のライバルだったが、我々の市場参入後、ベンチャーキャピタルの資金力を借りて、低価格を売りに新規参入する企業もあった」

「多額の資金を使うライバル企業は本業の宅配事業よりもブランディングやマーケティングに注力している。目の前の数字だけに躍らされるのでは、長期的な成長は見込めない」

――外部へ委託している業務はありますか。

「原則、すべてを自前でやっている。設備などは一部リースもあるが、スタッフは全て自社の社員だ」

――COD(代引き)業務における配達状況はどうですか。

「2015年の創業時に比べると大きく好転している。創業当時、EC各社は新参者の我々との取引に前向きではなかった。そのため自社でやりたくない事業を我々に引き継いだ。代金引換サービスの配送完了率は当初50%ほどだったが、今では約95%にまで上がっている」

「ECサイトもシステム改善をおこない、4年間で取引状況の悪いユーザーはブラックリストに載り、ECサイトから買い物できなくなるという仕組みができた」

――東南アジアは統一されていない集合体で、事業拡張には多くのコストが必要ですが、何か解決策はありますか。

「コストはそこまで問題ではない。OPPOのネットワークを活用すれば東南アジア各地に物流事業を拡大できる」

――インドネシアのオンラインマーケットプレイスとの提携状況について教えてください。

「インドネシア最大級のECサイト『Shopee』、『トコペディア(Tokopedia)』、アリババ傘下の東南アジアEC大手『ラザダ(Lazada)』、ECユニコーン企業『Bukalapak』などと提携している」

――中国ではECサイトの配送を請け負うには、ECサイトとの深い関係(コネクション)が求められることが多いですが、インドネシアでも同じですか。

「今のところない。自由な市場だと感じる」

――J&Tエクスプレスの資金調達の状況について教えてください。

「外部からは調達していない。株主はJet Lee氏とその他の出資者だ」

島しょ国の物流、EC決済

――中国ではECと物流は、ほぼ並行して発展してきました。インドネシアは現在どの段階にありますか。

「まだ発展初期の段階にあると考える。人口が2億6000万人なのに対し、電子商取引数は1日当たり約300~400万件。まだ市場には潜在力があると思う。ただ、決済がボトルネックとなっている」

――モバイル決済サービスの財閥系「OVO」、配車サービス系「Dana」「Go Pay」などでも問題を解決できませんか。

「これらは、ほんの一部のユーザーに対応しているだけだ。インドネシアでは人口の30%しか銀行口座を保有しておらず、口座をもたない人々はOVOやDanaは使えない。もしインドネシア政府が対応策を出してくれれば、EC業界は更に伸びるだろう」

「インドネシアECの課題は、中国と比べて商品のラインナップが少ないことだ。購入される商品の約8割が中国からの輸入品だ。このほか現地のインターネット普及率は低く、ジャカルタでも屋内で4Gが入らないほどだ」

――離島の多い国で宅配サービスを提供する際に、中国と異なる点は。

「中国とは全く違う。インドネシアでは事業の6割がジャワ島で行われている。その他の離島へは航空機を使い、現地でトラック輸送となる。スタッフの1人当たりの配達件数は中国が1日200~300件なのに対し、インドネシアでは平均60件、離島では10~20件が限界だ」

――物流マッチングプラットフォーム「Kargo Technologies」がシードラウンドで東南アジア最大級の資金調達に成功しました。インドのBtoB貨物輸送プラットフォームも62億5000万ドル(約6800億円)を調達しています。BtoB物流事業をどのように見ていますか。

「インドネシアのBtoB事業は縮小している。従来のBtoBビジネスはECの成長に圧され、利益も減っている。こういった状況でBtoB事業に参入しようと思うだろうか」

――最後に、急速に成長できた秘密を教えてください。

「『運』だ。ライバルたちはこの市場で30年も商売をしてきていたが、EC市場は2010年に成長し始めたばかりだ。我々は2015年に参入したが、タイミングよく市場の成長期にあたり、ラッキーだったといえる」
(翻訳:貴美華)

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