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BATを始めとする中国企業のテクノロジーの進化が、日本の観光業界に与える影響が日増しに高まっている。
「日中ツーリズムサミット2019」では、「中国テクノロジーが生む日本地域創生の可能性」をテーマとしたセッションにおいて、中国を代表するIT大手の百度(Baidu)の日本法人——バイドゥ株式会社代表取締社長の張成煥氏をゲストスピーカーに招き、百度の持つテクノロジーについて語ってもらった。またバイドゥ株式会社において、インバウンド支援を始めとした訪日旅行者向けビジネスの最前線で活躍する百度広告事業部ディレクター國井雅史氏からも個別に話を聞いた。
百度がテクノロジーで繋ぐ中国人旅行者と日本観光地
張氏によると、そもそも百度は日本市場を非常に重視しているという。通常、中国企業が海外本社を設立する場合は香港やシンガポールを拠点とするが、百度は東京に海外本社を設立し、現在そこには100人以上の社員がいる。また、百度はアジア最大の検索エンジン会社というだけでなく、百度地図、百度百科、自動運転、AIなど様々な事業領域があるが、日本の観光業と同社の各サービスとを密接に繋げることで、中国人旅行者の訪日体験をより良いものとしている。
例えば、日本における百度地図のMAUは35万人で、訪日中国人旅行者の2人に1人が利用している計算になる。また、中国版ウィキペディアと言われる百度百科では、日本の自治体のために百度が無料で各地域の紹介ページを作成している。例えば「秋田県」を百度百科で調べると、詳細な説明だけでなく、動画まで使い秋田県を丁寧に紹介し、日本の魅力を中国全土に発信する一翼を担っている。
中国でビジネスを成功させたいなら中国企業のパートナーを探そう
盛り上がりを見せる中国ビジネスで日本企業が成功するカギはどこにあるか。張氏によると、中国には「虎になりたければ虎とダンスを踊ろう」という言葉があり、言い換えれば「中国でビジネスを成功させたいなら中国企業と仲良くやろう」ということだという。日本企業からすれば重要になるのがテクノロジーに強いパートナーだ。百度は特にAIを初めとするABC(AI、Big Data、Cloud)が強みだ。例えば、中国人旅行者が「別府温泉」を検索すると最初のページにはJRや博多駅に関する広告が出てくる。なぜかといえば、別府温泉のある大分県は中国の都市との直行便がなく、必ず福岡など別の都市から移動してから行かなければならないからだ。そのため、別府温泉の検索結果と同じ画面にJRや福岡駅に関する広告が出ると、閲覧者のクリック数が増え広告主のビジネスに貢献する。これはBig DataをAI解析することで初めて可能になったテクノロジーの賜物ともいえるケースであり、今後このような事例はより一層増えていくだろう。
「インバウンド」を考える日本企業に、必ず確認してほしいこと
百度事業部ディレクター國井雅史氏によると、百度では交通系、商業施設、メーカー、ホテル、飲食店、地方自治体など観光に関わるほぼ全ての業態へサービスを提供している。そこで、日本企業や自治体がインバウンドビジネスをする上で注意すべきポイントについて聞いてみると、実は初期段階に大きな落とし穴があるという。それは中国人向けWEBサイトが中国からちゃんと閲覧できるかどうか、という点だ。WEBサイト制作時にGoogle APIなど中国国内では使えないサービスを使用していると、中国から読み込みができないため表示遅延の原因となることが多い。中国人がWEBサイトを閲覧するまで数十秒、あるいはそれ以上かかってしまうことも多々あり、その場合はほとんどの中国人が見る前にサイトから離脱してしまうのだが、そのことに気づいていない日本企業や自治体も多い。もし思い当たるふしがあれば早急に改善すべきだろう。
(文・公文)
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