「お年玉」で新規ユーザー獲得狙う中国のテック企業 春節の特別番組に巨額の予算を投入

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「お年玉」で新規ユーザー獲得狙う中国のテック企業 春節の特別番組に巨額の予算を投入 

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中国の春節まであと1カ月あまりとなり、テック企業は新規ユーザー獲得に向けた準備を進めている。

中国の3大証券新聞の一つである「証券時報」は関連筋の情報を引用し、CCTV(中国中央テレビ)が大みそかに放送する特別番組「春節聯歓晩会(以下、春晩とする)」の今年の提携パートナーだったバイドゥは、2020年も引き続きイベントを開催し、「紅包」と呼ばれるお年玉の規模は数億元(数十億円)に達するとみられ、特別担当チームも結成されたと伝えた。

また、中国のビジネス・ニュースメディア「晩点(LatePost)」によれば、人気ショート動画アプリ「快手(Kuaishou、海外版はKwai)」は入札により2020年の春晩の独占インタラクティブ提携パートナー権を獲得したという。また、快手の大みそかイベントに充てた予算はバイドゥを上回っているとのこと。この件に関し同社は回答を控えているが、これが事実であれば、バイドゥと快手は春晩にカムバックということになる。両社は今年2019年の春晩にも巨額の資金を投じている。

過去数年、微信(WeChat)、淘宝(タオバオ)、バイドゥ、抖音(Douyin、海外版はTikTok)、快手が続々とCCTV春晩の提携パートナーとなり、お年玉配布、ショート動画の録画・配信、春節専用スタンプのローンチなどの方法で視聴者を引き付け、インタラクティブを促してきた。その甲斐あって、こうしたアプリの1日当たりアクティブユーザー数(DAU)は春節期間中に爆発的に増加した。

バイドゥは今年の春晩で10億元(約150億円)のお年玉を配布した。視聴者はスマートフォンを振るか、バイドゥの検索またはショート動画の利用などによりお年玉を獲得でき、現金は決済サービスアプリ「度小満銭包(以前は百度銭包)」で引き出せる仕組みになっていた。さらに、春節期間中は8日間にわたるお年玉イベントも開催した。

バイドゥによると、2019年の春晩中、世界中の視聴者がバイドゥアプリを使用して延べ208億回のインタラクティブを実施し、DAUのピーク値は3億人を突破したという。また、春晩での第1回お年玉配布では3億元(約50億円)を拠出し、インタラクティブは延べ92億回に達したとのこと。

一方で快手も春晩とのコラボは初めてではない。2019年は春晩の「コンテンツ配信プラットフォーム」としてショート動画独占配信権を獲得した。また快手のライバルである抖音も同じく2019年の春晩で「独占ソーシャルメディア配信プラットフォーム」となり、お年玉関連イベントを開催した。

中国の調査会社QuestMobileの「2019年春節大リポート」によると、2月4日の大みそか当日、バイドゥのアプリのDAUは2億4000万人に達し、伸び率は67.3%に達した。また快手も4日~10日のDAUが2億1000万人に達し、伸び率は22.4%に達したという。

とはいえ、春晩の提携パートナーも気安く務まる仕事ではない。番組は一時の刺激をもたらすが、放送が終了すればユーザーの熱気はあっという間に冷めていくからだ。バイドゥのアプリを例に挙げると、大みそかのお年玉配布の終了後、DAUは2億4000万人から1億4000万人に激減したという。春節期間中(2月4~10日)の平均DAUから計算すれば、バイドゥのアプリの新規ユーザー数はわずか2700万人にすぎないという結果になる。

春晩はテック企業にとって、結果が目に見えやすいものの、巨額の投資を伴い残存率の高さも保証されない新規ユーザー獲得大イベントなのかもしれない。このイベントは2014年に微信のお年玉イベントにより始まったものだ。微信は翌年に5億元(約80億円)の資金を投入し、また2016年には支付宝(Alipay)も8億元(約120億円)を投じた。2018年にはアリババ系列の淘宝が春晩と提携し、6億元(約90億円)のお年玉と景品を配布している。
(翻訳・神部明果)

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