ドローン対策の新星「RAGINE」、GNSS模擬信号で誘導・妨害システムを開発

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ドローン対策の新星「RAGINE」、GNSS模擬信号で誘導・妨害システムを開発

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ドローン(小型無人機)市場の急速な成長に伴い、ドローンの乱用や違法飛行による安全上の問題が顕在化し始めている。「低高度・低速・小型」という特徴のある民間用ドローンに対して、現在は主に観測、検出、特定などの早期警戒監視を行い、無線通信による制御、網による捕獲、誘導などの手段で対策している。だが無線通信による対策では、制御の際の大出力で周辺の環境や人体、通信に大きな影響を及ぼす。網による捕獲にも大きな成果は見られない。

ドローン対策を手がけるスタートアップ企業「雷擎電子科技(RAGINE)」は、こうした技術的問題を踏まえ、GNSS(全球測位衛星システム)の模擬信号を用いたドローンの航行誘導・妨害システムを独自開発した。同システムは現時点で、最も効果的かつ周辺への悪影響が少ないドローン対策となっている。

雷擎電子科技は、2015年に設立された「西安雷擎電子科技」を前身として2019年6月に杭州市で設立され、主にドローン防衛システムの開発・製造・販売を行っている。製品には、民間用ドローンを対象とする無線通信監視システム、レーダー監視システム、光電監視システム、無線通信妨害システム、ドローン対策砲などがある。

同社が新たに開発したドローンの航行誘導・妨害システムは、GNSS信号を模擬して実際の信号より約10dbm大きい出力で発信し、標的とするドローンの航行誘導システムに入り込み、システムを制圧する。これによりドローンの飛行停止、誘導、指定方向への排除、捕獲、撃墜などが可能となる。

同社が保有する最先端技術は、ドローンの進行方向を反転させることが可能だ。行政機関や原子力発電所、油・ガス田など対象区域への侵入拒否、重要対象物への攻撃阻止、個人を対象とする高レベルなセキュリティなどに活用できる。関連機器を飛行禁止区域内に設置し、外部座標へ信号を発信することで、複数のドローンへの対策も可能にした。また、付属ソフトウエアのインターフェースは、ドローンの軌跡、速度、方向を迅速に設定し、外部接続のリモコンによりドローンを指定の方向へ排除できる。

同社は主に民間市場での代理販売で顧客を獲得している。顧客の半数を占める油・ガス田などエネルギー関連企業には既製品を提供しており、客単価は数十万元(数百万円)。公安部門や司法機関などテロ対策が必要な機関にはカスタマイズした製品を提供しており、客単価は100万元(約1500万円)以上となっている。同社は軍事市場への直接販売にも取り組んでいる。同社の収支バランスはは既にとれており、今後は主に市場拡張を目指す。同社がこれまでに成約した販売契約は約1000万元(約1億5000万円)に上る。

ドローン対策市場はここ1~2年で急速に成長し始めた。市場調査世界大手「MarketsandMarkets」の最新リポートは、2018年には4億9900万ドル(約550億円)だった世界のドローン対策市場の規模が、2024年には22億7600万ドル(約2490億円)まで成長すると予測している。中国のドローン対策関連企業は現在、140社を超えている。

とはいえ、ドローン防衛システムの技術的障壁は高い。中国で現在、同システムに関する製品を手がけるのは、雷擎電子科技と国防科技大学のチームのみだ。同システムは新興技術で、市場はブルーオーシャンだ。雷擎科技は、独自開発した中核部品により、より軽量かつ小型で低コストな製品の製造を可能にした。同社の中核チームはドローン対策分野に長年たずさわっており、GNSSの模擬信号や信号処理のアルゴリズム、ソフト・ハードウエアの設計・開発、情報システムの統合などの技術的経験も豊富だ。また、各地の軍事関係の高等教育機関と研究面での協力関係を結んでおり、研究開発力も非常に高い。同社は既にエンジェルラウンドでの資金調達を完了している。リード・インベスターは「杭州瓯遠投資」、コ・インベスターは「寧波錦行企業管理諮詢」。調達額は約1億元(約15億円)に上るとみられる。
(翻訳・田村広子)

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