ソフトバンク出資のホテルチェーン「OYO」、激安価格が特徴の新事業戦略には懸念も

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インド発のホテルチェーン「OYO」が中国の格安ホテル市場で注目の存在となっている。格安ホテルの平均客室単価(ADR)は、新たな事業戦略を実行したOYOによって一段と引き下げられ、他社もその戦略を真似する可能性が高い。

OYOの新たな事業戦略「ストラテジー2.0」は格安ホテル新時代の幕を開けた。その戦略をみると、本部による効率的な価格コントロールのゲームで、格安ホテルのトーナメント戦でもあることが分かる。

ストラテジー2.0が成果を上げる

OYOのストラテジー2.0は、「ストラテジー1.0」実行時の収益が上がらないという問題を解決した。一定の売り上げを保証してホテル側に運営を任せる一方、OYOは宿泊料金と予約チャンネルの管理を行い、29元(約450円)や39元(約600円)という格安料金で客室稼働率(OCC)を伸ばすと共に、最低価格については自社プラットフォームで確保している。

10月時点の公式発表によると、OYOが5月以降に提携したホテルは3000軒に上り、OCCは80%以上に上昇した。だがOYOは、最低保証額(MG)に達した提携ホテルの軒数や、販売可能な客室1室あたりの売り上げ(RevPAR)と全体の収益がどの程度増えたのかを明らかにしていない。

OYOのストラテジー2.0に関する公式リリース
画像リンク: http://www.prcfe.com/finance/2019/0823/364246.html

ストラテジー2.0では、ホテルの売り上げ実績をベースにMGが決められる。売り上げがMGに満たない場合、OYOは差額を補填し、そこから10%の配分を得る。MGを超えた部分の配分率は50%だ。例えば、MGが6万元(約90万円)のホテルで、ある月の売り上げが5万元(約75万円)の場合、OYOは1万元(約15万円)を補填し、それから6万元(約90万円)の10%を配分として得る。実質的に4000元(約6万円)を補填するが、それと引き換えにOCCを伸ばす会員ユーザーを増やすことができる。

提携ホテル3000軒のうち約3分の1のRevPARが目標に達し、1000軒ほどがMGを達成すれば、OYOのテイクレートは20%近くに達する。これは間違いなく素晴らしい数字だ。OYOは、効率的な本部管理方式を採用し、ホテル支配人やオーナーの管理作業を減らすと同時にフレキシブルな料金設定を通じ、提携ホテルとのウインウインを実現した。

ADRの引き下げに加えてOYOは、各予約チャンネルの料金設定を見直した。同一ホテルでは、OYO公式チャンネルからの宿泊料金をOTA(オンライン・トラベル・エージェント)に比べ平均で15%前後下回る最も低い水準に設定し、実店舗で予約する際の料金を最も高くした。こうすることで、実店舗の顧客がOYOの会員に登録する可能性も上がる。OYOの公式チャンネルを通じた予約の割合は、OTAの割合に近づきつつある。

ストラテジー1.0で事業を野放図に拡張したため、ストラテジー2.0は収益の上がらない泥沼からスタートしたが、ホテルと予約チャンネルの管理を強化したことで利益配分をもたらすホテルを生み出し、かつて高額な委託料を支払っていたOTAに今では対抗するまでになった。

ストラテジー2.0の懸念も明らかに

しかし、ストラテジー2.0が成功したというのは時期尚早で、懸念も明らかとなっている。その問題とは、一つがADRが低いホテルのコスト、もう一つが会員システムだ。

OYOのストラテジー2.0は確かに価値を創造し、インターネットを活用する効率の良い方法でホテルの空室を埋め、ユーザーにはより低い宿泊料金を提供した。しかし、オーナー側の収益とコストを細かく計算すると、OCCが上昇すると同時に人件費やクリーニング代がかさむため、ホテルが必ずしも儲かるわけではない。

1泊29元(約450円)や39元(約600円)という格安の宿泊料金から物件賃料、光熱費、人件費、クリーニング代といったコストを引くと、ホテルはどう考えても赤字だ。OYOは、集客策となる格安セール終了後の料金引き上げを認めているが、提携ホテルのADRは平均70元(約1000円)に満たない上、OYOの公式チャンネルが提供する宿泊料金は平均50元(約750円)ほどとさらに低い。

省の2番手、3番手の地方都市において、50元(約750円)というADRでホテルを展開する経営者は利益を得られるのだろうか。ホテルの経営が成り立たなければ、OYOのビジネスモデルも長期的に続かない。宿泊料金の決定権がOYOの手中にある中で、ホテルは収益を上げようにもコストを節約することしかできず、こうした状況が続けばホテルのサービス水準も下がる一方だ。

また、ADRはホテル利用者のレベルに影響する。29元(約450円)や39元(約600円)の格安料金で集客した利用者は何を求めているのだろうか。料金を重視する利用者はロイヤルティが低いため、割引がなくなってもOYOを選ぶとは限らない。OYOは短期間に低料金で多くのユーザーを集め、将来は多様なホテルの展開を考えているのかもしれないが、低料金で呼び込んだ会員は中・高級ホテルを展開する際の妨げになる恐れがある。

OYOは、今年10月時点で3000軒だった提携ホテルを年末までに1万軒に増やそうとしている。目標数値を掲げ、それが不可能と分かっていても続ければ結末は一つしかなく、OYOストラテジー1.0と同じ轍を踏む可能性がある。提携ホテルの目標軒数を達成できずに、提携解消済みのホテルを予約チャンネルに数合わせで表示すれば、ユーザーが予約時に目にするのは利用できないホテルばかりということになる。収益の上がらないホテルを抱え込むと、OYOは最終的に資本金までも失うことになるかもしれない。

そうなれば、投資家に限らず、OYO中国の社員や格安ホテルのオーナーたちも、OYOが改めて打ち出す「ストラテジー3.0」にお付き合いすることはなさそうだ。ストラテジー2.0が良く見えても、OYOの未来には期待しづらい。もちろん、ストラテジー2.0の成否はOYO自身が決めることになる。
(翻訳・神戸三四郎)

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