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イスラエルのコスメブランド「IL MAKIAGE(イル マキアージュ)」がこのほど、同国のアクティブラーニングのアルゴリズム開発会社「NeoWize」を買収した。
2年前に仏高級ブランドLVMH系列の投資会社「Lキャタルトン」が株式の35.8%を取得し、LVMH傘下に入ったイル マキアージュは、技術とコスメ商品を融合させたダイレクトマーケティングのビジネスモデルが特徴。自社で運営する電子商取引(EC)プラットフォーム「PowerMatch AI Algorithm」や「Kenzza」などを通じ商品を販売している。プラットフォーム内ではKOL(キー・オピニオン・リーダー)がメーキャップ・アイテムを使う動画などが投稿され、ユーザーは商品を購入する際に参考にできるようになっている。
今回イル マキアージュに買収されたNeoWizeの共同創業者2人はイスラエルの国防部情報部門の出身で、イル マキアージュ内での新しいポジションは、Omer Nevo氏が研究開発センター副総裁に、Yoav Cafri氏がチーフ・データサイエンティストに就く予定。イル マキアージュは、今回の買収によりビューティー業界のイノベーションが促進され、AI、データおよびアルゴリズムの能力向上を通して消費者のEC体験が最適化されるとの考えを示した。
AI(人工知能)・VR(バーチャルリアリティ)・AR(拡張現実)などの技術は、各業界で普及が進んでおり、ビューティー業界にも革命を迫っている。
化粧品世界最大手の仏ロレアルグループは2019年初めに「ビューティーテック型企業」への構造転換を打ち出した。テクノロジーがビューティー業界の最重要課題になろうとしていることを戦略としてはっきり表明したかたちだ。
テクノロジーに弱い大部分の化粧品会社にとって、M&Aは間違いなく最速で目的を達成できる最善策だ。
2017年、資生堂はAIを使ったバーチャルメークを手がける米「Giaran(ギアラン)」を買収。ロレアルは2018年3月にカナダのスタートアップ「ModiFace(モディフェイス)」を傘下に入れた。これは同社初となるテック企業の買収となった。
いずれのケースでも、買収されたデジタル技術はマーケティングや販売の面で活用され、ユーザー体験を向上させマーケティング方法を刷新するための原動力となる。
このうちバーチャルメークには、すでに多くのブランドが力を入れている。ユーザーが自身の写真をアップロードしてアイテムを選べば、AR技術により実際にメークしたときのイメージを確認できる。どのコスメブランドやECサイトでも、テック企業の技術を借りてバーチャルメーク・サービスを提供している。
仏ゲランはデジタルメークアップの「VOIR Inc」と提携し、メーク・アイテムを試せるアプリをリリース。ロレアルグループは傘下のモディフェイスの技術を使ってWeChat(微信)のミニプログラム「ARMANI beauty(アルマーニビューティ)」にAR(拡張現実)を応用したバーチャルメーク・サービスを提供するほか、米ECサイト大手「アマゾン」とも共同でバーチャルメーク機能「Live Mode」をリリースしている。プラットフォームでは、「京東(JD.com)」やアリババ傘下の「天猫(Tmall)」もARバーチャルメーク機能などを導入している。
市場のニーズによって、小売業界のデジタル化は一つの確かなトレンドとなっており、ECでの売上げが業績を左右する。ロレアルグループの2019年上半期のECによる売り上げは前年同期比48.5%アップし、売上高全体の13.2%を占める。ロレアル中国についてはECによる売り上げが全体の35%を占めるという。
AIにおける美容とテクノロジーの融合は、主にチェック機能やスマートロボットに現れている。
例えばロレアルグループでは傘下の化粧品ブランド「LA ROCHE-POSAY(ラ ロッシュ ポゼ)」が紫外線(UV)を計測するシール及びアプリをリリース。ヘアケアブランド「Kerastase(ケラスターゼ)」は髪の状態をデータから分析してヘアケア製品を提案するスマートヘアブラシ、米「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)」の「PhotoAgeClock」は肌年齢や肌の状態をチェックできる。「SEPHORA(セフォラ)」はチャットボット「Kik」でユーザーに美容アドバイスを提供している。また、ロレアルは京東と協力しスマートスピーカーで肌情報の提供や商品を購入できるサービスをリリースした。
美容とテクノロジーの融合という概念は、このほかにも洗顔用フェイスブラシ、美顔器など美容関連機器の大ヒットをもたらした。ビッグデータの研究と高効率のスマート運用を通じて、ビューティー商品の製造フローも絶えず改善されつつある。
テクノロジーは消費者の利便性、美容産業の収益の両方にメリットをもたらしたが、現状では販売などの面だけに限られており、商品の品質、機能や口コミなどにおいては、まだ十分に活用されていない。テクノロジーに対する投資が高まるにつれ、我々はビューティー産業の更なる可能性を目にすることができるかもしれない。(翻訳:貴美華)
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