ベトナムでP2Pサービスが台頭 投資家は慎重な姿勢

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

ベトナムでP2Pサービスが台頭 投資家は慎重な姿勢

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

格付け情報企業「フィッチ・レーティングス」が発表したベトナム消費者金融に関する報告書によると、ビジネスに有利な人口構造、消費主義ブーム、銀行サービスが受けにくい環境、および銀行口座を持っていない人口が多い等の要因により、ベトナムにおける消費者金融事業には大きなビジネスチャンスがあるという。

ベトナムでも、P2P融資プラットフォームでローンを借り入れることはできる。しかし、相手が悪質な業者かどうかを判断するのは難しい。P2P融資プラットフォームを監督し、管理できる法律が制定されていなければ、消費者に大きなリスクをもたらす可能性が高い。

ベトナムでは、インターネットと携帯電話の普及率の向上につれ、悪質な金融業者もインターネットを利用し始めた。最近、ベトナムの公安部は消費者金融アプリに関する警告を出した。これらのアプリは年利が1600%もあるのみならず、不法な暴力的手段で借り手を脅迫したり、借り手の財産を没収したりすることもある。

また、借り手には正式な信用記録がないため、P2P融資プラットフォームを含む少額消費者金融事業者側にも、リスクが高くなっている。

整備されていない法律環境

オーストラリア、アジアで業務を行っている「アレンズ法律事務所」が発表したベトナムP2P金融報告によると、 P2P業務に対する法律が整備されていないため、ほぼどの企業でもベトナムでP2P事業に従事できるのが現状だという。

そのような状態の中で、「VayMuon」と「Tima」が有名なP2P融資プラットフォームであり、ベトナム金融技術エコシステムにおいて、優秀な業者だと見られている。後者は昨年シリーズBで300万ドル(約3億3000万円)を資金調達した。

しかし、ベトナムのアップルストアを見れば、怪しい融資アプリがいっぱいあることに気づくであろう。

今年の7月に、ベトナム国立銀行が国内の融資機構と外資銀行のベトナム支店に、P2Pとの連携は慎重に行うように呼びかけている。同銀行によると、地場のP2P融資業者は、投資者と消費者両方に対し、そのビジネスが現行の法律に保護され、かつ有効にリスク回避ができると、いう誤った情報を伝えているという。

業者が乱立するマーケット

前述のVayMuonは、ベトナムのテクノロジー企業「NextTech Group」傘下のP2P融資プラットフォームであり、2017年にTrang Dao氏によって創立された。同社は200万のユーザーを持ち、ベトナムで最も人気のあるプラットフォームの一つだという。現在、事業をミャンマーとカンボジアに拡大している。

VayMuonは、迅速で短期的なローンを希望しているが銀行の審査基準に満たないホワイトカラーと労働者にローンサービスを提供している。近日、同社はシリーズAの資金調達が完了する見込みだという。

同社が提供するローンは1000万ベトナムバーツ(約430ドル、47000円)を上限とし、同社と提携業者が収集した個人情報に基づき独自の審査を行う。利率も、月利1.5%、年利18%を上限として設定している。

今年の4月、中国金融ニュースメディア「証券時報」の報道によると、現在、ベトナムに存在する40の融資プラットフォームのうち、約1/4が中国企業の傘下企業である。中国国内ではP2Pについて管理監督が強化されたため、一部のプラットフォームがベトナム進出を始めたと考えられる。

規制のサンドボックスが必要

最近、ベトナムのテクノロジーの発展について、問題が起きたときに他に影響を及ぼさないように、規制の「サンドボックス」を構築する必要があるという議論がされている。

最近、ベトナム国立銀行がフィンテック企業の規範化に関する提案を政府関連機関に提出した。業界関係者と政府官僚は2020年に関連法律が制定され、サンドボックス内で金融テクノロジー活動を指導できるようになることを期待している。

東南アジアスタートアップベンチャーキャピタルの「ESP Capital」のジェネラル・パートナーのVy Le氏によると、明確なオフィシャルガイダンスが発布されるまで、投資者はベトナムP2P融資プラットフォームに対する投資について、慎重な態度を示しているという。

また、ESP Capitalとベンチャーキャピタル「Cento Ventures」が発表した2019年上半期ベトナムにおけるテクノロジー投資に関する報告書によると、ほとんどの資金が支払いと送金分野に投資され、 融資サービスへの投資は極僅かしかないという。

それでも、同業界は魅力的である。Google等が発表した東南アジアデジタル金融報告によると、2025年に同業界の市場価値は600億ドル(約6.5兆円)になる見込みだという。デジタル支払いと送金サービスにも成長が見込まれているが、特にベトナムでは、デジタル融資サービスのほうがより速いスピードで発展すると見られている。

なお、同報告書によると、政府が一貫性があり、かつ同業界を支持する政策と法律を打ち出せるかどうかが、同地域におけるデジタル金融サービス発展に影響する最大の不確定要素だという。

作者:KrASIA, Thu Huong Le
原文: https://kr-asia.com/p2p-regulations-critical-for-vietnam-to-avoid-fallout-from-chinese-crackdown

英中翻訳:Emily@熊猫訳社

(翻訳:小六)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録