キャッシュレス決済「アリペイ」が地方インフルエンサーを活用 農村部の消費市場への浸透を加速

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中国の電子商取引(EC)最大手のアリババグループのキャッシュレス決済「アリペイ」は今、人気ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」や「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」上で農村生活をテーマにしたコンテンツを配信するインフルエンサー「三農達人」と独占提携契約を進めている。抖音の農民インフルエンサー葉飛機氏、百香姐氏なども提携相手となっている。彼らは農村に住み、ショートビデオを通じて田舎暮らしの様子を発信している。

アリペイの意図は明らかだ。ショートビデオのインフルエンサーを通じて新たなターゲットを囲い込み、開拓が遅れている三、四級都市の大衆消費市場を手に入れたいのだ。

アリペイにはすでに全世界で10億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)がいる。一、二級都市の「オジサン、オバサン」たちの日常的支払いから小規模店舗の決済まで、アリペイが使われていないところはない。しかし大衆消費市場全体では、10億人のユーザーを持つSNSアプリWeChat(微信)によるキャッシュレス決済「微信支付(WeChat Pay)」の方がより多くのユーザーに受け入れられている。テンセント(騰訊)が発表した2019会計年度の第2四半期の財務報告書によると、WeChatのMAUは11.3億人に達している。

他社アプリと共に大衆消費市場へ浸透

インターネットサービスは通常、国の全人口の3割にあたる一、二級都市から7割の人口を占める三、四級都市へと浸透していくのだが、アリペイが大衆化していくのは容易ではない。なぜなら、三、四級都市のユーザーにとって、アリペイをダウンロードして使用方法を学ぶためのコストはWeChat Payよりもずっと高いのだ。

アリペイの普及コストを下げるため、アリババ系アプリは大衆化を標榜する「趣頭条(Qutoutiao)」、「今日頭条極速版(Toutiao 高速版)」等アプリに広告を載せる「上得意」となり、共に三、四級都市へ浸透していこうとしている。また、抖音、快手が配信している農村コンテンツの中でもアリペイの利便性をアピールしている。「三農達人」と直接契約するのは最大の宣伝効果を図るためだ。これらのインフルエンサーは商品のユーザーであると同時に、商品の使い方の解説者でもある。彼らの推薦と説明があれば、アリペイは大衆消費市場で一気に普及する可能性がある。

画像:中国版TikTok(抖音 Douyin)のスクリーンショットより

激戦の大衆消費市場

ユーザーの獲得を巡り、アリペイとWeChat Payは、激しい争奪戦を繰り広げている。WeChatはアリペイに倣って、信用スコアや借入など金融サービスの機能を徐々に拡充している。一方、アリペイも微信に倣って、チャット機能、ミニプログラムなどソーシャルとエンターテイメントの機能を増やしている。

三、四級都市、さらには農村地区において、WeChatでチャットする人々が、決済ではWeChat Payを選ぶのはごく自然なことだ。そこで、アリペイはWeChatユーザーにもう一つの決済アプリとして、追加インストールしてもらえる存在になろうとしている。地方都市における代理店やQRコード決済商店を発掘し、へき地の山岳地帯の新規ユーザーを獲得するために大規模な「紅包(ラッキーマネー)」と呼ばれる懸賞金を出すなど、アリペイの動きはますます活発化している。

アリペイはついに変わり始めた。アリペイはもう単なる決済ツールではない。サービス型アプリへと進化している。
(翻訳・桃紅柳緑)

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