「車載インフォテイメントを制するのは音声コンテンツだ」 中国発ユニコーンを夢見る「聴伴」

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IoV(車のインターネット)が進化するに伴い、カーオーディオ市場が成長株となってきている。

先月上旬、スマートカーオーディオを提供する「聴伴(Tingban)」の運営元「網楽互聯科技(Wangle Hulian Technology)」が記者発表会を開き、同社がシリーズBで地図サービス企業「四維図新科技(NavInfo)」からの出資を受け、スマートコクピット分野で提携していくことで合意したと発表した。

同社の俞清木CEOは高度なレコメンデーションアルゴリズムを有するニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」を例に挙げ、「聴伴はそのラジオ版を目指したい」と述べた。今日頭条は巨大なUGC(ユーザー生成コンテンツ)のプラットフォームともいえる。聴伴もオリジナルコンテンツに加えてこうしたコンテンツも取り入れていきたいとのことだ。2018年にはBMGや「摩登天空(Modernsky)」などのレーベルと自動車向けコンテンツのアライアンスを結成しており、オーディオブック「懶人聴書(Lanrentingshu)」や「蜻蜓FM(QingTingFM)」、テック系ニュースサイト「36Kr」など20社以上のコンテンツプラットフォーム、3000以上のセルフメディアを取り込み済みだ。

聴伴のCEO俞清木氏(画像:公式サイトより)

副総裁(VP)の李建剛氏は事業スキームについて、先に法人向け、次に個人向けを展開していくとした。まずは自動車企業にカーオーディオのコンテンツ運営サービスを提供し、一定の売り上げと顧客規模を得てから広告による収益化も考慮していくという。

企業向けにはカスタマイズ可能で、なおかつ24時間体制でコンテンツを運営する『品牌電台』を提供しているという。すでに「日産智行(NISSAN INTELLIGENT MOBILITY)」傘下のラジオ放送をはじめとした複数局が聴取できる。

聴伴の前身は2013年にローンチされたカーオーディオプラットフォーム「考拉FM(Kaola FM)」で、大手ポータルサイト「捜狐(SOHU)」の自動車カテゴリで編集長を務めていた俞CEOが立ち上げた。2018年に現在のサービス名に改名し、新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」の李斌CEOが出資者兼パートナーとなっている。

その李斌氏は同年、品牌電台の製品発表会で「すべての自動車がコネクテッドカーになれば、自動車は巨大な移動媒体になる。自動車は移動する生活空間となり、その空間で最も重要な媒体は音声メディアだ」と語っている。

中国の調査会社「易観(Analysis)」の調べでは、音楽をはじめとしたカーオーディオの使用率は96%。車内エンターテイメントとしては音声が主要コンテンツだということだ。2018年に販売された新車の約2割に車載インフォテイメント(IVI)が初期搭載されており、2020年にはこの割合が5割を超えると予想される。カーオーディオにとってはブルーオーシャンだ。

易観「2019年中国の車載インフォテイメント利用状況」

車載インフォテイメントの可能性については、多くの音声コンテンツ企業が目をつけているようだ。前出の蜻蜓FMや人気音声アプリ「Himalaya(喜馬拉雅)」はすでに車載版アプリをリリースしている。すでにスマートフォンの世界で一定の成功体験を持つサービスが参入してくることについて、俞CEOは「危機感は確かにある」と認めたうえで「我々は我々のすべきことを完遂することが大事だ」としている。

米国には時価総額300億ドル(約3兆2800億円)にも上る衛星デジタルラジオの大手「シリウスXMホールディングス」も存在し、スマートカーオーディオの初期搭載率は76%に達している。俞CEOは「モバイルインターネットのボーナス期はすでに終焉を迎えたが、IoV市場はまだ黎明期。中国市場からもデカコーン(評価額100億ドル以上の未上場企業)が現われるだろう」と述べている。(翻訳・愛玉)

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