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1月7日から米ラスベガスで開催されているコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、OPPO傘下のスマートフォンメーカー「OnePlus(一加)」が「消えるカメラ」を搭載したコンセプトモデル「Concept One」を発表した。
この斬新なモデル、通常使用時にはバックカメラ部分は黒一色だが、カメラを起動するとガラス部分が次第に透明になり、カメラが現れるというもの。これによりバックカメラの出っ張りがなくなり、全体のデザイン性も向上した。
この技術はスポーツカーなどですでに活用されている。英マクラーレンのスーパーカー「720s」に搭載されているサンルーフは、透明度を自在に変化させることのできる特殊ガラスを採用している。今回のコンセプトモデルの開発でOnePlusはマクラーレンと提携し、同様の技術を使って「消えるカメラ」を実現したのだ。
この特殊ガラスはエレクトロクロミックガラスといい、電流を流すことで透明度を変化させることができる。
小さなスマートフォンにこの技術を搭載するには高い精度が求められる。エレクトロクロミックガラスは、電流に応じて色が変化するエレクトロクロミック物質をガラスで挟んだ三層構造になっているため、薄さを求めるスマートフォンでこの厚みをどう攻略するかが最大の難関だった。最終的にOnePlusはマクラーレンの技術チームと提携し、18カ月を費やしてコンセプトモデルに採用できるまでに仕上げたのだ。
エレクトロクロミックガラスの採用により、撮影モードも一層充実した。電気信号によって光の透過量を細かくコントロールできるため、スマホカメラでは難しかったスローシャッターや減光フィルター機能により、水の流れなどをきれいに写すことができる。ただ、コストがかかりすぎるため、現時点では量産には向かないという。
では、これまで話題になってきたアンダーディスプレイカメラが先に発売されるということなのだろうか。その可能性はないといえる。
「消えるカメラ」とアンダーディスプレイカメラは技術的に異なるものだ。後者の場合、重要になるのはカメラ技術よりもディスプレイ技術で、多岐にわたる分野との連携が必要となる。OPPOやシャオミがアンダーディスプレイカメラを搭載した機種のデモンストレーション動画を公開しながらも、発売のめどが立っていないのはそのためだ。OPPOが今年発表予定のフラッグシップモデル「Find X2」にアンダーディスプレイカメラが搭載されるとのうわさもあったが、OPPO副総裁の沈義人(ブライアン・シェン)氏は、量産は無理だと否定している。
この先しばらくは、スマートフォンの形状が大きく変わることはないだろう。数年前にディスプレイ内指紋センサーが普及した時のような驚きや衝撃も、ここしばらくは皆無だ。スマートフォン技術がボトルネックにさしかかり、目新しいものに欠ける今の状況では、せいぜいマーケティングについてあれこれ議論するしかなさそうだ。
(翻訳・畠中裕子)
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