企業の海外進出を後押し 著名ライターやKOLと直接つながるマッチングシステムとは

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中国企業の海外進出は一向に勢いを削ぐことなく、もはや一種の潮流となっている。企業の海外進出を支援する「藍鯨出海(lanjing.hk)」とLinkedIn中国の調査データによれば、2018年の中国企業の海外進出に伴う統合型マーケティング費用は総額140億ドル(約1兆5000億円)に達しており、そのうち9割は従業員数500人以下の中小企業だ。

海外でのブランドマーケティングは通常、PR企業や通信社などを通じて大手海外メディア各社で一斉に情報発信し、掲載数やページビュー(PV)などに基づき発信効果を測定するというプロセスを経る。大量の広告を短期間でスピーディーに発信できることがメリットである反面、高額なPR費用に加え、ページビューの多さが必ずしも市場でのブランド認知に直結しないというデメリットが顕著となっている。

36Krが先日取材したスタートアップ企業「聚聯伝播諮詢(WeBridge Consulting)」は、グローバルマーケティングに新たな発想をもたらした。創業者の陳新思氏は、ニュースリリースが必ずしも効果的な周知につながるわけではないと考える。公称データの裏には、媒体としての水準、総合PVおよび一般認知度の低さといった問題が隠れていることがあるが、海外経験に乏しい国内企業はこれらを判断するすべがない。成長中の企業が重視するのはコストパフォーマンスや効果的なコンバージョンだ。聚聯伝播はそこで、企業とメディアに属する個人とを直接つなげるシステムを考案した。

同社が立ち上げたのは、メディアリソースのマッチングを行うSaaS「Seadog」だ。国外の各大手メディアの著名記者やKOLに対してプラットフォームへの登録を呼びかけており、企業はプラットフォーム上でこうした「メディアリソース」に直接接触できる。企業は、所属媒体、業界、発行頻度、報道方針などの情報を検索することで適切なメディアパーソンを絞ることができ、提携を打診する招待メッセージも送れる。このほか、企業の登録したマーケティング情報に基づき、メディアリソースの統合・推奨も可能で、パフォーマンスの低い記者やKOL(キーオピニオンリーダー)をふるい落とした上でより質の高いリソースをレコメンドしてくれる。

メディアマッチングプラットフォーム「Seadog」の画面

国外メディアのコンテンツ発信方式は中国国内と異なり、費用を払えば幅広い拡散が達成できるとは限らない。しかし当該分野のコンテンツに興味を示す記者やKOLを発見できれば、最小限のコストで最高のパフォーマンスを狙えるのだ。ただし、こうした概念を広めるためには、市場に対する教育を継続し、国内の海外進出企業が発想転換できるようリードすることが欠かせない。

同社はこのため、海外におけるメディア・リレーション管理方法、海外の文化やバックグラウンドの知識、海外広報関連の英語レクチャー、海外人材の募集・育成などに関する研修事業も実施している。これらの研修は主業務の成長要因となるほか、顧客のロイヤリティーを継続的に高めていく上で多大な力を発揮する。

このほか、海外におけるメディアリソースやコンテンツ発信の質を判断する際、メディアモニタリングも重要だ。同社は媒体評価システムを構築しており、海外ネット情報の自動取得、ウェブサイトの優先度分析、分類・クラスタリング、テーマの識別と分類およびトラフィック分析を通じて、海外インターネット世論の観測やニューストピックのトラッキングといった顧客の情報ニーズに応え、リポートやグラフなどの分析結果を作成している。世論分析では、ネガティブ情報、注目されるテーマ、拡散経路および炎上傾向などの視点から市場のインサイトを行い、顧客にフィードバックを行う。

昨年12月の時点で、プラットフォームに登録済みの記者は3万人、KOLは2万人に達した。だが海外メディアとのマッチングはSeadogの発展の始まりにすぎず、プラットフォーム上で媒体、KOL、他の仲介リソースを一つに統合することが聚聯伝播の次なる目標だ。

一方で成熟した大企業はPR活動を完全アウトソーシングする傾向にあるため、聚聯伝播はこれらの企業に対する統合型マーケティングサービスを打ち出した。支付宝(Alipay)、繊維大手「如意科技集団(RUYI Group)」、乳業最大手「伊利集団(Yili Group)」、テック企業「柔宇科技(ROYOLE)」など各社の個別ニーズに合わせ、海外メディアパーソンの発掘、国際展示会・イベントでのマッチング、さらには海外マーケティングデータの分析といった一連のカスタマイズサービスを提供するものだ。こうしたトータルサービスの意義は、業務領域の拡大や、コンサルティングブランドとしての信用構築という点にある。

統合型マーケティングサービスの一例

2017年創業の聚聯伝播はニューヨークに本部を設置しており、現時点で30人のスタッフを抱え、そのうち8人は北京オフィスに所属する。昨年の時点ですでに100以上の国・地域でメディアネットワークを構築済みだ。創業者の陳新思氏は米デイトン大学でコミュニケーション学の修士号およびMBAを取得しており、大手PR会社での就業経験を持つ。CMO(最高マーケティング責任者)の張子騰氏は、北米の中国人学生向けニュースメディア「College Daily」でマーケティングディレクターを務めた人物だ。
(翻訳・神部明果)

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