5Gブームはまだ先? 台湾半導体メーカー「メディアテック」の4Gチップが品薄に

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「5G」が2020年のスマートフォン業界で最もホットなワードであるのは間違いない。しかし、5Gブームに沸く中、台湾半導体メーカー「メディアテック(MediaTek)」製の4Gチップが品薄になっているという。

サプライチェーンからの情報によると、ファーウェイやOPPOなどのスマホメーカーは、メディアテックの4Gチップを続々と追加発注している。最も人気のある「Helio P22(コード:MT6762)」は今年上半期に2500万台を出荷する見通しだが生産が追いつかず、欠品状態は3月まで続く見通しだ。

2018年にリリースされたシャオミ(Xiaomi)の「Redmi 6」やvivoの「vivo Y83」、2019年に台湾でリリースされたOPPOの「OPPO AX5S」や「Realme C2」もこのチップを採用している。これらはすべて1000元台(約1万6000~3万2000円)の格安スマホだ。

このことから明らかなように、格安4Gスマホのニーズは減少していない。5Gスマホは人気だが、ユーザーに乗り換えを促すには力不足だ。中国では5G基地局の敷設範囲が現時点では充分に普及したと言えるレベルではない。さらに、通信速度が向上したという利点を除いては、キラーアプリケーション(対応するハードウェアを購入させるような、圧倒的な魅力を持ったアプリケーション)が不足している、スペック的にバランスのとれた製品の価格は高止まりしたままといった負の要素が重なり、多くの人が購入に二の足を踏んでいる。

OPPOの呉強副総裁もあるインタビューで、5Gスマホが大々的に普及するのは2020年半ばか後半なってからだろうと述べたことがある。現在、すでに5G機種へ乗り換えているのは経済的に余裕があり、かつ技術にも精通しているユーザーだ。

呉強氏の判断はやや楽観的かもしれない。市場をグローバルな観点から見ると、5Gがブームとなるには程遠い。特に、中国スマホメーカーが群がるインドや東南アジアの新興市場ではインフラが乏しく、4Gスマホですらいまだ普及段階で、5Gを語るには時期尚早だ。シャオミの最新の財務報告書によると、海外における平均小売価格は低下しており、格安スマホが同社の海外販売の主力だと推測できる。

こうした状況はメーカーを不安にさせる。待望の5G乗り換えブームは後ろ倒しになる可能性があり、海外市場で今すぐ爆発的な利益を出すのは難しい。売り上げを維持するため、今は格安もしくは中価格帯スマホに頼らざるを得ないのだ。一方4Gが始動した当時は、フィーチャーフォンからスマホへの全面転換によって買い替えが進んだ。外部アプリの後押しがなければ、5Gスマホは根のない木と同じだ。メーカーは5Gで巻き返したいだろうが、今のところ革新的なイノベーションはなく、技術のボトルネックが長期的な課題となる。当面の主流は依然、格安もしくは中価格帯の4Gスマホのままだろう。
(翻訳・永野倫子)

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