グーグルが攻勢を強める自動車業界、大手は企業連合で対抗

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米国のIT系ニュースサイト「CNET」は昨年12月、米グーグルのバーチャル地球儀システム「Google Earth」の衛星画像が人類居住地域の98%を網羅し、米アップルなどのライバルを大きく突き放したと報じた。

位置データはモビリティー産業の「土台」だ。莫大なデータの蓄積を誇るグーグルは、すでに自動車製造業界の中核に攻め込んでいる。同社は2010年に自動運転車の走行試験を開始。同社の持株会社「Alphabet(アルファベット)」傘下の自動運転車開発会社「Waymo(ウェイモ)」は昨年、補助員が乗車しない無人タクシー「ロボタクシー」サービスを世界で初めて提供、さらに米国自動車産業の中心地デトロイトに自動運転車の生産工場を建設した。

「競争相手は自動車会社だけではない、グーグルのような会社もライバルになってくる」。トヨタ自動車の豊田章夫社長は2018年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)でこのように発言し、自動車大手もIT企業が自動車産業に与える影響を警戒していることが明らかになった。

グーグルの世界にようこそ

グーグルはデータと自動運転技術を武器に、モビリティー産業の主導的存在となる可能性がある。モビリティーサービスのトップ企業である米国のUberやLiftですら、ロボタクシーサービスを提供するにはグーグルに助けを求めざるを得ない。昨年11月、UberはWaymoと特許ライセンス契約を結ぶ必要性に言及し、さもなければ同社の自動運転技術開発に支障が出るとの認識を示した。

核心的技術や市場シェアを持たないモビリティーサービス企業を待ち受けるのは、グーグルによる制約を受け、最終的にはグーグル系のロボタクシーサービスに取り込まれるという残酷な結末だ。そのとき、グーグルは3つの時代(インターネット時代、モバイルインターネット時代、自動運転時代)の覇者として新たな時代に君臨するだろう。

攻勢を強めるグーグル

Waymoは自動運転開発で大きく先行している。同社の評価額は18年に2500億ドル(約27兆5000億円)に達し、時価総額で当時世界第1位だったトヨタ自動車を超え、自動車のモビリティー分野で評価額が最も大きい企業になった。

スイス大手銀UBSによると、Waymoの企業価値は自動運転技術だけでなく、グーグルが自動運転車部門に提供する統合されたビジネスエコシステムにあるという。WaymoはGoogleマップやGoogle検索の中から道路やユーザーの好みに関するデータを収集することで、YouTubeやGoogle Playストアを通じたエンターテインメントサービスおよびスマートスピーカー「Google Home」を利用した音声サービスを提供することができる。また、ソフトウエア開発の専門知識を活かして車両を管理する能力もある。

グーグルは昨年5月に開催した年次開発者会議「Google I/O 2019」で、車載機器用「Android Automotive OS」のリリースを正式に発表。これは同社が車載組込みシステムへの本格参入を果たしたことと、Androidシステムを搭載した自動車が基本システムをインターネット経由でバージョンアップできるようになることを意味している。

自動車業界で企業連合続出、王座防衛へ

高級車ブランドのメルセデス・ベンツを展開するドイツ自動車大手ダイムラーのマーカス・シェーファー取締役(メルセデス・ベンツ・カーズ開発統括)は、自動車を発明したのは同社だという自負があるとし、「他社にハードウエアを提供する企業に成り下がることはない」と強調した。

かつてPCのハードウエアメーカーに起きた出来事は、自動者業界の教訓となっている。米マイクロソフトが開発したOSのWindowsが業界標準になっていく中で、ハードウエアメーカーは自分たちの製品が薄利の商品に変わり、マイクロソフトに流れる資金が増え続けていることに気づいてしまった。

自動車業界は現在、自らも同様の脅威にさらされていることを察知している。怒濤の勢いで迫り来る異業種のライバルに対抗すべく、自動車業界も変革のペースを速めざるを得ない。

2015年、ダイムラー、BMWグループ、アウディの独自動車大手3社が連合を組み、フィンランドの通信機器大手ノキア傘下の地図サービス会社「Here Technologies」を買収、自動運転技術の開発に布石を打った。19年にはダイムラーとBMWグループがモビリティーサービス連合を結成。同年、独フォルクスワーゲンと米フォード・モーターも連合を組み、自動運転技術と電動化技術を共同で開発、共有するとした。また、ホンダも米GM傘下の自動運転開発会社「GMクルーズ」に27億5000万ドル(約3025億円)を出資している。

自動運転技術の蓄積という面で、Waymoを若干上回っているのが米テスラだ。しかも、テスラの走行データはテストコースで得たものではなく、全て実際の道路での走行によって収集されている。出荷される各車両がテスラの「データ収集器」というわけだ。

米金融大手モルガン・スタンレーによると、2030年の市場はテスラとWaymoの2強時代を迎える見通し。市場シェアはテスラが26%、Waymoが18%、GMクルーズが13%を占めるとみている。

グーグルが自動車産業で金字塔を打ち立てられるかどうかは、時間をかけて検証していく必要があるだろう。だが、テクノロジーで人々の生活の可能性と限界を探り続ける同社にとって、自動車は決して最終到達地点ではない。
(翻訳・池田晃子)

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