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拡大の速いUberは、撤退するのも速い。
先日のニューヨーク・タイムズ紙によると、Uberはインドにおけるデリバリー事業「Uber Eats」を3.5億ドル(約380億円)で現地の競合相手「Zomato」に売却することを決めたという。その見返りとして、UberはZomatoの株式9.99%を取得した。UberEatsのデリバリー設備、顧客情報、蓄積してきたデータは漸次Zomatoに引き渡される。今後6か月間は、インドでUber Eatsを利用すると自動的にZomatoのサービスに転送される。しかし、インドUber Eatsの従業員の雇用は保証されない。
今回の買収前、Zomatoはアリババグループ傘下のアント・フィナンシャルから1.5億ドル(約160億円)の資金調達を行った。Zomatoは2008年に設立されたインドのユニコーン企業であり、2014年にデリバリーサービスに進出。その後同じくインド現地企業のSwiggy社、Uber Eatsと三つ巴の競争を繰り広げてきたが、その構造が崩れつつあった。現地メディアの統計によると、Zomatoの日当たり注文数は120万〜130万件であるのに対し、Uber Eatsは30万〜60万件しかない。Swiggyは同140万〜160万件であり、Zomatoは買収によってライバルであるSwiggyを上回ることになる。また、Zomatoは比較的高級志向であり、Uber Eatsは3ドル以下の低価格メニューが中心であるため、ターゲット顧客層においても相互補完性が強い。
同様の撤退はこれまでもよく見られた。2016年8月、Uberは中国業務をDiDi社に売却し、後者の株式17.7%を取得した。2017年7月、Uberはロシアから撤退し、ロシア業務はYandex社と合併することになった。その一年後には東南アジアでライバルのGrabに敗れ、モビリティやデリバリー業務をすべて買収され、Grabは一気に巨大エコシステムを作り上げることとなった。
なぜUberは敗退が続くのだろうか。原因としてまず挙げられるのは、同社のコストがあまりにも高すぎることだ。Uber Eatsがインドに進出した2017年の時点で、ZomatoとSwiggyがすでにシェアの大半を確保していたため、Uberは巨額な資金を投じ価格戦争を仕掛けることにした。しかし、インドにおける同社の収益源はモビリティ事業であり、デリバリー事業の宣伝と補助金に使える予算には限りがあった。昨年、Uberインドは月平均2000万ドル(約22億円)をデリバリー事業に投下し、その影響もあり2019年の後半5か月で累計200億ルピー(約300億円)の赤字となった。UberのCEOダラ・コスロシャヒ氏も、Uber Eatsインドの赤字は世界トップだと認めている。
もう一つの要因は、Uberが性急に規模を拡大しすぎることだ。急拡大は大量の資金を要するだけでなく、リスクも高まる。Uberは2013年に急拡大を始め、これまで世界の600以上の都市で業務を展開している。しかし、どの都市においても巨額のコストと、現地政府の独占禁止政策や競合相手の攻勢に頭を悩ませてきた。
中国、東南アジア、そしてインドと、Uberは世界制覇のためにあまりにも多くの代償を支払ってきた。上場以降のUberは、規模拡大よりも速いペースで赤字を積み上げている。その一方、好材料も見られる。インドでのデリバリーからは撤退したが、2020年にインドでのモビリティ事業を52都市から200都市に広げると発表したのだ。そのポイントは配車サービスに、自動車ではなく現地の特徴により適合したバイクを使用することである。
Uberにとって、撤退するのはむしろいいことかもしれない。自らが勝てないマーケットに執着せず、株式を取得する形でマーケットの成長による利益を確保しながら、自身の主要業務に集中できるためだ。今株主は、Uberがいつ黒字化を実現できるかに注目している。
(翻訳:小六)
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