犬や猫が「家族化」、出費惜しまぬ傾向も=ペット市場のチャンス(二)

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犬や猫が「家族化」、出費惜しまぬ傾向も=ペット市場のチャンス(二)

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<犬や猫が「家族化」、出費惜しまぬ傾向も=ペット市場のチャンス(一)>

中国のペット関連企業

中国のメーカーは多くがOEMあるいはODMの形態をとってきたため、こうした企業が後に自社ブランドに転換するケースが多い。近年はITやニューエコノミーを手がける企業が新たな切り口で参入してきており、ペットに特化したEコマースやSNSなどを開拓している。

■中寵食品(China Pet Foods):OEMから自社ブランドへ
2002年から食品開発・製造を手がけてきた中寵食品は、OEM企業として世界30カ国に商品を提供してきた。自社ブランドも強化しており、傘下には「Wanpy」「Natural Farm」「Dr.Hao」「Jerky Time」「愛寵私厨」「脆脆香」など多くのブランドを抱え、国内で積極的に販路を開拓している。

同社はペット産業のその他の分野にも急速に事業を拡大している。2017年4月には40カ所以上でチェーン展開するペット医院「美聯衆合動物医院(MEILIANZHONGHE VETERINARY HOSPITAL)」の株式を取得したほか、同年8月にペット用品のサプライヤー「雲寵智能(Yunchong Intelligent)」に、翌年5月にペット用玩具メーカー「源飛寵物玩具制品(Yuanfei Pet Toy Products Factory)」に出資している。

■瑞鵬寵物医療集団(Ruipeng Pet Healthcare Group):チェーン展開するペット病院
海外のペット病院の多くがチェーン展開しており、雇用する医師を厳しく選別し、診療科目も内科・外科・眼科・産科など細かく分けていることと比較し、中国のペット病院は小規模な個人経営が90%を占める。こうした小規模医院はブランド力やスケールメリットもなく、地元利用者だけをターゲットとしている。1人の医師が全診療科目を担当し、サービスの質や水準も玉石混交だ。

こうした中、チェーン展開する医療機関がペット医療業界全体を成長させる趨勢がみられる。中国の調査会社「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」の統計によると、瑞鵬寵物医療集団は全国50都市に400カ所の医療機関を開設している。

瑞鵬は従来から新規開院と他医療機関の買収によって売上高を年々伸ばしてきた。事業構成からみると、主な収益源はペット医療・ヘルスケア、ペット美容、ペット関連商品の販売となっている。ただし、ペット医療業界ではM&Aの取引金額が上昇し続けているほか、市場競争の加熱も相まって経営コストも跳ね上がっており、瑞鵬はこの15年間、純利益が下がり続けている。

2018年には「高瓴資本(HILLHOUSE CAPITAL)」が出資するペット医療機関と統合を進め、“新生”瑞鵬集団が誕生した。

新体制では高等教育機関との提携も強化し、人材をシームレスに採用する体制も整えた。さらにグループ傘下にも教育機関や臨床医研修センターを設立、人材育成の体制固めを行っている。

■ペット特化のEコマース、SNS:競争厳しくユニコーン不在
ペット関連のEコマースは大きく分けて二種類。一つはペットを取引するプラットフォームで、もう一つは食品などのペット用品を取り扱うプラットフォームだ。

ペット関連のEコマースは中国国内ではまだ模索段階で、ユニコーンも現れていない。資本の流入が急成長を促しているところだ。また、ペットに特化したSNSは収益化の手段が少ないため、通常はオンラインショップに併設する形で展開される。飼い主同士で情報交換するかたわら、買い物もできる仕組みだ。

ペット市場の規模

この1000億元規模のペット市場において、将来的にどのような商機が期待できるのか 。

中国最大手EC「天猫(Tmall)」で日用消耗品やペット用品、生花などの商品を統括する成化氏は昨年末に開催された「Global Pets Forum Asia(全球寵物亜洲論壇)」で、「中国市場の商機は大規模な中間層から生まれる。また、強力なデジタル化や個別化されたサービスが求められる」と述べている。

成熟した米国市場の成長過程を参考にすれば、将来的に登場するであろうリーディングカンパニーは製造・販売・サービスの三つの事業を網羅し、かつその全てにおいて業界トップの立場に立つだろう。ペット市場の各分野でトップに立つ企業や投資機関はすでにこれに向けて動いている。また今後数年は新たなプレーヤーの参入が続き、急速に事業を拡大していくだろう。トッププレーヤーは市場の統合に向けて激しい競争体制に入ってきている。こうした動きが中国のペット市場全体をさらに成長させていくと考えられる。

(作者:「深響(DEEP ECHO)」、書寧)
(翻訳・愛玉)

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