2022年冬季五輪 初のサイバーセキュリティスポンサーに「奇安信」が決定

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2022年冬季五輪 初のサイバーセキュリティスポンサーに「奇安信」が決定

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中国のサイバーセキュリティ企業「奇安信(Qianxin)」が昨年末、2022年の北京冬季オリンピック・冬季パラリンピックにおいて、サイバーセキュリティおよびウイルス対策ソフトウェアの公式スポンサーになることを発表した。

北京冬季五輪組織委員会の常任副主席兼事務局長の韓子栄氏は北京大会会場で行われた会見で、「冬季オリンピックの市場開発に参加し、開催準備をサポートすることは、企業にとって国全体の発展に貢献する光栄な責務というだけでなく、自らのブランドを構築し、競争の優位性を高める貴重な機会だ」と述べた。

「五輪スポンサーは一般的なスポンサーと異なり、成功すれば他を圧倒して名をあげられる。しかし、それができなければ終わりだ」。奇安信の斉向東董事長は会見後のインタビューでこのように述べ、五輪組織委は検討を重ねた末に同社をスポンサーに選出したと誇らしげに語った。また同氏は「弊社がスポンサーとして最適任であることが我々の行動で証明されたということは重要だ」と述べた。

同氏は五輪スポンサーとしてのサービス提供が一般企業に対するものとは異なることを明らかにした。大会で使用されるネットワークが複雑なうえ、多くのスポンサー企業は国際オリンピック委員会の長期的パートナーであるため、奇安信が独自にシステムを変更したりサービスプロバイダーを選択したりすることはできない。一般企業が相手ならばシステムの改善や作り直しを提案できるが、オリンピックにおいては「現状に頼るしかできない」。この点が奇安信のセキュリティ機能にとって大きな挑戦となる。

画像提供:奇安信

このため奇安信は以下の3つを実践した。

最初に北京冬季オリンピック・サイバーセキュリティオペレーションセンターを設立。冬季五輪にネットワーク情報サービスを提供する全プロバイダーと連携し、サイバーセキュリティの問題について協議した。次に冬季五輪全会場の情報を整理し、ネットワークセキュリティを確保した。最後に大会全体のネットワークサービス計画を設計した。

奇安信の呉雲坤総裁は、五輪組織委が「冬季オリンピック・冬季パラリンピックのサイバーセキュリティおよびウイルス対策ソフトウェア関連の公式スポンサー」を専門的に設置したのは今回が初めてだと明らかにした。奇安信は歴代のどの五輪スポンサー企業よりも多い3000人を超える人員を現場に投入すると確約している。

これまでサイバーセキュリティは主にインターネットを対象としており、通信ネットワークに関わることは少なかった。しかし5GとIoTの時代において、サイバー攻撃は現実世界に爆弾を投下することと等しい。競技会場のスクリーンやウェブサイトに問題が生じれば、競技結果が疑問視されたり影響を受けたりする。さらに、サッカーの審判補助システムなど競技会場内の多くの設備がネットワークに接続しており、ネットワークセキュリティが乗っ取られればは競技そのものをコントロールされる可能性がある。このような理由から、五輪組織委はサイバーセキュリティ要件を新たに設けたのだ。

昨年4月、奇安信は外部への株式譲渡により「三六零安全科技(360 Security Technology)」から分離独立し、同社の将来は大きな注目を集めている。360創業者の周鴻褘氏はかつて、ユーザーがサイバーセキュリティに支払う費用は「現実には非常に少ない」と述べ、360は多くの資金をつぎ込んだが相応の収益は得られなかったと明かした。

斉向東董事長も、「今までのサイバーセキュリティ業界の不況の原因は、同業他社が顧客に対して製品と技術のみを提供し、コミットメントと保証サービスを提供してこなかったことにある。市場には10年以上にわたり数十~百人規模の小さな企業しかなく、製品がいかに安いかだけを競い、結果的に誰も収益をあげることができず、最終的に悪循環に陥っている」と述べている。

将来的にサイバーセキュリティ企業がの収益を上げるなら、保証があり約束されたサービスを提供する必要がある。同氏は「サイバーセキュリティは脅威に対抗する産業だ。剣を持っていてもそれを使用しないと世界一にはなれない」と述べた。先ごろ、国務院国有資産監督管理委員会が中央企業(国有企業のうち、中央政府の管理監督を受ける企業)のトップに対して、サイバーセキュリティ審査を評価に組み込ことを決定したため、その対応策が明確な目標をもったニーズとなり、顧客はこのために進んで費用を払うようになる。さらに5GとIoTの普及に伴って、サイバーセキュリティも現実世界に拡張され、この業界の重要性は高まっている。

このような理由から同氏は収益規模を不安視しておらず、「サイバーセキュリティは従属的な地位から主導的な産業へと変化し、サイバーセキュリティはどこにでも存在するようになる」と述べた。
(翻訳・普洱)

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