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中国産テスラ車のバッテリー供給にようやくめどが付いた。中国のリチウムイオン電池大手「寧徳時代(CATL)」は3日、テスラに車載用リチウムイオン電池を供給すると発表した。テスラのイーロン・マスクCEOも現地時間1月29日、第4四半期決算発表後のカンファレンスコールで、LG化学およびCATLとの新たな提携関係について言及していた。
CATLとテスラとの間にはこれまでさまざまな憶測が飛び交っており、両社の接触は業界内ですでに公然の秘密と化してきた。テスラの中国生産計画の進展と同時に、サプライチェーンの現地化が確実なものとなってきた。「中信証券(CITIC Securities)」の調べによると、テスラの直接的・間接的なサプライヤーは現時点で合計約130社にすぎず、そのうち半数以上が中国国内の企業であるという。
「モデル3」の価値は主にモーター、バッテリー、車両制御ユニット(VCU)に集中しているが、これまでテスラのサプライヤーとなってきた企業は、技術障壁が低く、製品価値に占める割合が低いボディやシャーシおよび内外装分野に集中していた。これらの労働集約型企業では、人件費や原材料費が相対的に低いことがサプライヤーとしての強みとなってきた。パナソニックの車載電池の生産能力が行き詰まり、テスラがCATLとタッグを組んだことは、同社が中国のサプライヤーとして初めてテスラの中核部品分野に入り込んだことをも意味する。中国産モデル3の販売価格は30万元(約470万円)以下と設定されたため、部品の現地化がさらに進めば、さらなる値下げの可能性も出てくる。
だが、より長期的なメリットは、車載電池の供給でLG化学やCATLが存在感を増すことにより、さらに多くの中国企業がテスラのサプライチェーンに組み込まれるという点だ。当時、アップルの中国進出がサプライチェーンにおける新たな波及効果を生んだように、CATLの参入により、中国国内の自動車サプライチェーンはブラッシュアップされることになるだろう。
新型肺炎の影響を受け、発表当日3日の市況は一定して低調だったが、CATLの株価は136.7元(約2120円)と7.03%の値上がりとなった。
テスラが先日に発表した業績によると、第4四半期の売上高は73億8000万ドル(約8100億円)、純利益は1億500万ドル(約115億円)に達している。注目すべきは、フリーキャッシュフローが10億1000万ドル(約1100億円)と市場予測の4億2950万ドル(約500億円)を大幅に上回っていた点だ。また同四半期のモデル3の生産台数は、前期比9%増の8万6958台、納車台数は前期比16%増の9万2620台に達した。
生産台数の大幅激減を乗り越えてきたテスラは、すでに中国国内の主要メーカーとの価格交渉権を獲得している。ただし中国の経済紙「毎日経済新聞」によれば、バッテリーの角型セルと円筒形セルの技術規格や原理には大きな違いがあるため、テスラとCATLの提携においてはセルの管理システムに関する技術的な駆け引きが生じるという。また「より安全性・信頼性の高い管理技術を提供できる企業が、価格交渉においても有利な立場に立つだろう」としている。
(翻訳・神部明果)
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