独身でも楽しい、中国の新消費を引っ張る「おひとりさま経済」

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独身でも楽しい、中国の新消費を引っ張る「おひとりさま経済」

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何椿さんは20代のうちに結婚したいと思わない。「今の時代、一人暮らしも楽しい」と彼女は言う。

中国では、彼女のような未婚の若者が本当に多い。彼らの多くは1985~1995年生まれで、ほとんどは両親がまだ現役、親を扶養する必要はなく、家事もあまり負担しなくていい。さらに、都会の利便性と生活のストレスが彼らの婚期を遅らせる。

こうした背景の下、彼らの消費スタイルは徐々に伝統的な概念と異なる一面を呈してきた。住宅や医療、教育など将来へ投資するよりも「遊びたい時に遊ぶ」ことを重視、目の前の快楽のためにお金を使う。この種の消費概念は中国に「おひとりさま経済」の成長を促した。

おひとりさまの食事もおいしい

中国民政部の調べでは、2018年に中国の成人独身者は2億人を超えた。独居人口は7700万人だ。

何椿さんもその中の一人。24歳の彼女は現在、成都で建築会社に勤めている。2018年に両親の援助で約50平米の単身者用マンションを購入した。「私はこういう生活もいいと思う」。恋愛したいと思うこともあるが、運命の人が現れる前は、一人暮らしのほうが気楽だと言う。

リビングの小さい独身者用マンションの一室

2018年、何さんの職場近くに、おひとりさま席を設けた火鍋店がオープンした。おひとりさま席はパーテーションで隣と仕切られ、店内の1/3のスペースを占めている。何さんは、すぐにこの火鍋店の常連客になった。

中国のおひとりさま向けレストランの多くは日本を真似たものだ。

「孤食」をポジティブに取り上げる日本の人気ドラマシリーズ『孤独のグルメ』は、彼女が大好きなドラマの一つだ。彼女は主人公の五郎のセリフ「孤独にもポジティブなエネルギーがある。それは各自が持つ自由と独立を表している」を引用して、おひとりさま経済の背後にある心持ちを表現した。

呷哺呷哺のおひとりさま鍋

おひとりさま用家電が大ヒット

家電メーカーはこのチャンスに目を付けた。

「九陽(Joyoung)」などの家電老舗ブランドを皮切りに、単身世帯向けの小型家電が続々と登場している。後発の「小熊電器(BEAR ELECTRIC APPLIANCE)」はエッグクッカー、ヨーグルトメーカーなどのコンパクト製品で一気に成長し、難なく上場を果たした。

中国大手EC「天猫(Tmall)」のレポートによると、過去10年で小型電子レンジの販売台数は970%増、小型洗濯機の販売台数が630%増となった代表例のごとく、家電の他にも消耗品、インテリア用品、美容用品に至るまで日用品の売れ筋商品がコンパクト化し、機能は細分化が進んでいるという。2016年、天猫プラットフォームへのおひとりさま関連グッズ供給数は前年比5.6倍、販売数は同2.2倍にまで増えた。

「おひとりさま」は気晴らしにも

気晴らしの分野でも、おひとりさま向けサービスが始まっている。

28歳のプログラマー李瑞さんは目下恋愛をするつもりはない。「大都市での恋愛と結婚のコストはかなり高い」。彼は仕事が終わって帰宅する前に、いつも自宅近くのショッピングセンターに行く。買い物ではなく、地下のミニカラオケボックスに直行、昔の電話ボックスのような小さなスペースに潜り込み、30元(約500円)支払って約20分熱唱するのだ。

電話ボックス型カラオケボックス

最近、こうしたカラオケボックスは各地のショッピングエリアに続々と登場している。「中商産業研究院(ASKCI Consulting)」の調べでは、2019年までに8万4000台以上の電話ボックス型カラオケボックスが設置され、2020年までには11万8000台に達する見込みだ。

イメージの変わった一人暮らし

フードデリバリーなどを手がける「美団外売(Meituan Waimai)」の調べでは、2017年上半期、北京、上海、深センなどの配達サービスは利用者の60%以上が独身者、中でも北京は73%が独身者だったという。大手EC「タオバオ(淘宝網)」のビッグデータによると、タオバオでは毎日平均1000人が「バーチャルパートナー」を探している。この「パートナー」とは、朝起こしてくれる、おやすみのあいさつをしてくれる、甘えてくる、お祝いのメッセージをくれるなどバーチャルにコミュニケーションが取れるロボットなどの商品を指しており、その購入層の65%が未婚者だという。

今時の若い独身者がより重視しているのは、こうした経済システムの背後に隠れている。それは社会が独身者を心から認め、許容することだ。

何椿さんのような若い独身者は、商品の形態よりも「一人暮らしは快適」とアピールしてくれる商品を望んでいる。「たとえひとりぼっちでも、私たちは楽しんでいる」、これがインタビューの中で彼らが繰り返し表明していた態度だ。

作者:锌刻度(Wecha ID:znkedu),黎文婕

(翻訳・永野倫子)

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