在庫抱えない越境EC「Kelp」 お気に入り商品をソーシャルバイヤーが現地購入

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昨年の新「EC法」の施行により越境ECのバイヤーが日増しに下火となる一方、高品質、高コストパフォーマンスの海外商品に対する中国の消費者のニーズは高まり続けている。

2014~2015年に、越境ECの三大巨頭である「天猫国際(TMALL GLOBAL)」「網易考拉(ネットイースコアラ)」「海囤全球(JD Worldwide、旧・京東全球購)」が相次いで誕生した。中国の越境EC市場の規模は、2018年には前年比44.9%増の1613億元(約2兆5200億円)に達している。昨年第2四半期の市場シェアでは、網易考拉が33.1%、天猫国際が25.4%、海囤全球が12.1%と3社が上位を占めており、1000億元(約1兆6000億円)規模の越境EC市場の構図はすでに定まったといえる。これに加え、アリババが昨年9月に網易考拉を買収したことで、越境EC分野の寡占状態はさらに強まった。

こうした中、国内の越境EC市場には新たなビジネスチャンスが残されているだろうか。海外のロングテール商品市場に着目したスタートアップ「海帯買手(Kelp)」が一つの可能性を示している。

2018年創業の海帯買手は海外バイヤー向けのプラットフォームだ。プラットフォームに雇われたバイヤーがユーザーの注文商品を現地で購入し、商品は専門の越境物流システムによりユーザーの元へと届けられる。創業者の柳嘉仕氏は、大手越境EC企業にはない同社の独自性について以下の点を挙げている。

第一に国内市場では入手できないCDアルバムやフィギュアなどの商品をメインとしており、越境ECの空白分野を埋める存在となっていること、第二にユーザーのオーダー・支払い後にバイヤーへの購入指示を出すため、海外倉庫や在庫のコストが発生せず、キャッシュフローにも余裕があることだ。

同社は昨年8月末、WeChat(微信)のミニプログラム「海帯買手」をローンチ、現時点でユーザー数は数千人に達し、伸び率は前月比で250%、客単価は145元(約2300円)に達している。

海帯買手

プラットフォームの主な利用者は女性で、全体の77%を占める。24歳以下の若いユーザーの割合も増え続けており、韓国アイドルのCDアルバムや日本の漫画を購入する2000年以降生まれのバイヤーも登場しているほどだ。

海帯買手はキャッシュバックをベースとした知人紹介方式を奨励しており、現時点で新規ユーザーの85%以上が既存ユーザーの紹介による。このほか「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」などのユーザープラットフォームを活用したターゲット広告による顧客獲得も計画中だ。

同プラットフォームは主に専業ソーシャルバイヤーと提携している。柳氏によれば、海帯買手はプラットフォームの専業性を重要視しており、「最速で最安値の商品を探し出す」ことを全面に掲げる。確実に正規の購入ルートから仕入れてもらうため、バイヤーは事前にプラットフォームと契約を締結した上で保証金を支払っており、指定の店舗で商品を購入し、確認のためその場で動画を撮影する。

現在、海帯買手は香港市場を主要な買付地としており、現地の事業者との提携ネットワークも構築済みだ。さらに香港の越境物流ルートもリソースとして抱え、商品の保管、パッキング、通関、国際郵便などのバイヤー向けのトータルサービスを提供しており、コンプライアンスと適時性の確保に努めている。

同社は「価格の透明性」という経営理念を明確に掲げる。プラットフォームは商品の価格構成を顧客に公開しており、各商品の価格には、実際の購入価格、送料および手数料が含まれる。手数料の割合は10.9%で、そのうち5%がバイヤー、5.9%がプラットフォームの収益となる。

「海帯買手」創業者の柳嘉仕氏

1990~1995年生まれの若い消費者は、より多様で個性的な商品を求めるようになっており、越境EC市場のニッチ化がトレンドになりつつある。中国EC最大手「淘宝(タオバオ)」傘下の越境EC「淘宝全球購(タオバオグローバル)」が発表した2018年のデータによれば、特色あるマイナーブランドの販売数が急速に伸びているという。コスメを例に挙げると、2018年にはスペイン、チェコ、ロシアのマイナーブランドの販売伸び率が64~1220%に達しており、米国、日本、韓国などの有名ブランドを大幅に上回る。バイヤーによる買い付けを主とする淘宝全球購も、他では手に入らない世界中のブランドに注力しており、現時点で提携済みの20万ブランドのうち、8割はそうした中小ブランドが占めている。

淘宝全球購とは異なり、海帯買手はプラットフォームに対するコントロール力を重視する。現在、同社のユーザーのオーダーは全てプラットフォームのカスタマーサービスに送信され、そこからバイヤーに割り振ることでサービスの標準化が図られている。

越境EC分野の空白を埋める同社は、大手越境ECプラットフォームとの提携機会もうかがっている。さらにエンジェルラウンドでの資金調達も進行中だ。

※画像提供はpexels
(翻訳・神部明果)

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