EVメーカー「理想汽車」がIPO申請 5億ドル調達予定 難関克服なるか

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ロイターの報道によると、「理想汽車(LEADING IDEAL)」は米国でIPOを申請し、少なくとも5億ドル(約550億円)を調達する予定で、早ければ2020年上半期に上場を果たす。順調にいけば、同社は「蔚来汽車(NIO)」に次ぎ米国で上場する2社目の中国新エネルギー車メーカーとなる。

上場は既定方針

理想汽車は上場に関することに一切コメントしていないが、株主の動きを見ると、上場は既定路線だということがわかる。同社の第二位の株主である「利欧股份(LEO Group)」は昨年、理想汽車がVIEスキームを構築する予定だとする公告を発表した。これは中国のインターネット企業が規制を回避し海外で上場するときによく使う手法であり、バイドゥ、アリババ、テンセントはすべてこの方法を採用している。

さらに、この上場は、株主の後押しがあるだけでなく、理想汽車の生き残りがかかっている重要なプロジェクトでもある。

統計データによると、2019年上半期、理想汽車の売上高は527.76万元(約7900万円)で、6.29億元(約94億円)の赤字となった。総資産は58.42億元(約880億円)で、総負債は9.31億元(約140億円)だった。

したがって、利欧股份が公告で述べているように、「理想汽車は新エネルギー車の開発と製造のために大量な資金を必要としており、上場に成功すれば、現在の株主にとっても資金面の圧力が減少する」のである。

理想汽車の資金調達状況(「企查查(qichacha.com)」のデータをもとに「鋅刻度(xinkedu)」が画像を作成)

上場するだけの実力はあるか

蔚来汽車は2019年に電気自動車を2万565台納車した。一方、理想汽車は2019年12月4日にようやく納車を開始したが、同月の納車数は1000台しかなく、蔚来汽車以外の中国の新エネルギー車メーカーと比べても、その数は少ない。しかも、納車数が少ないにもかかわらず、品質問題が多発し、消費者の信頼を大きく損なってしまった。

これらは理想汽車自身の実力不足によるものだが、業界全体を見ても厳冬状態であると言える。新エネルギー車産業はすでに再編の時期に入り、成長はより落ち着いたものになり、資金調達のスピードも落ちてきた。

さらに、補助金の減額で、各メーカーの販売台数は軒並み減少しているが、専門家は2020年もこうした状況は続くと指摘している。

すなわち、理想汽車にとっては短期、長期とも課題が山積しており、たとえ上場できたとしても、同社の「理想」は叶えられそうにないということだ。

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新エネルギー車の未来は

数年前まで、新エネルギー車業界は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。国家戦略の後押しもあり、従来の自動車メーカーからインターネット企業、さらに不動産デベロッパーからもこの業界への参入が相次いだ。

しかし、補助金が減少した今、新エネルギー車は支えを失い、販売が急落している。2019年1月~11月の中国の新エネルギー車の販売台数は89.4万台で、対前年比で6.8%の増加に留まった。昨年は89.4%の増加だったのに比べると大きな鈍化である。さらに、2019年11月の販売台数は対前年同期比で45.8%も減少した。

業界に厳冬が到来しているのは確かだが、どのようにこの時代を過ごせばよいのか。

まず、資金調達が必要になる。業界をめぐる環境が悪化する中、新規参入者にとって資金調達の方法は上場しかない。また、出資者が収益を確保しようと上場するよう圧力をかけている可能性も排除できない。しかし、このような性急な上場はむしろ逆効果となり、企業に致命的なダメージを与える恐れがある。

トラブルや故障が相次いでいるため、ユーザーはまだ新エネルギー車を信頼できない状態だ。そのため、メーカーが自腹を切って補助金を出し、購入を動機づけようとする動きもある。しかし、補助金は長続きできるものではなく、2020年の難局を乗り越えるには、コストをいかに下げるかが重要になる。

また、テスラのような海外の強力なライバルへの対策も課題だ。従来の自動車メーカーが新エネルギー車を海外のミドル、ローエンドマーケット向けに打ち出していることは、新規参入企業として学ぶべきかもしれない。

いずれにしても、コストを惜しまずに投資してきた新エネルギー車産業は低迷期に入り、資本も企業も立ち止まって冷静に考えるときが来た。慌てて上場するのは最適解ではないはずだ。
これは一社だけの問題ではなく、業界全体で考えなければならないことである。

作者:「鋅刻度」(Wechat ID:znkedu) 李季

(翻訳:小六)

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