テンセント、ファッションEC「Farfetch」に130億円を出資 加熱する中国のラグジュアリー商戦

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テンセント、ファッションEC「Farfetch」に130億円を出資 加熱する中国のラグジュアリー商戦

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英ラグジュアリーファッションECプラットフォームの「Farfetch(ファーフェッチ)」は1月30日、テンセントと米投資企業「Dragoneer」からそれぞれ1億2500万ドル(約137億円)を調達したことが、36Krの取材で明らかになった。今回の資金調達は、Farfetchが発行した転換シニア債の形式で行われ、有効期間は2020年3月31日から2025年12月31日となっている。満期後は、12.25ドル(約1350円)の開始価格で株式に転換する。

Farfetchによると、今回の資金調達は主に現在の運転資金に充てるという。2019年末時点で、同社の現金および等価物の残高は約3億2000万ドル(約350億円)。このほか、調達した資金は長期的戦略、とりわけ中国市場における成長にもプラスに働くとみられる。

これまで、Farfetchはテンセント傘下のWeChatプラットフォームで、パブリックアカウント、WeChat商場やミニプログラムなどで多くの業務を展開してきた。とはいえ、同社にとって中国企業との提携は今回が初めてではない。

2017年6月22日、中国EC大手「京東(JD.com)」はファーフェッチに3億9700万ドル(約450億円)を出資して、筆頭株主となっている。この度、京東の筆頭株主であるテンセントが参戦したことで、Farfetchが中国市場で布陣を敷くのに弾みがつくこととなった。

中国のラグジュアリー市場の規模はどれほどだろうか。

米投資ファンドの「ベインキャピタル(Bain Capital)」が発表した「2019年世界ラグジュアリー業界研究報告」によると、2019年世界のラグジュアリー商品の販売額は3100億ドル(約34兆円)で、そのうち中国が35%を占めているという。消費形態の変化に伴って、ラグジュアリー商品のオンラインプラットフォームもますます人気を増してきた。2018年、ラグジュアリー商品のオンラインでの売上高は2017年より約37%増の53億ドル(約5700億ドル)に上り、中国のラグジュアリー市場の10%以上を占めたことになる。

これに対して、中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)も傍観しているわけではない。ECからスタートしたアリババは昨年10月、世界最大のラグジュアリーEC「Yoox Net-a-Porter(ユークス)」と合弁会社を設立し、中国国内のラグジュアリー消費市場に力を入れると発表した。アリババは技術と物流、合弁会社はメンズ、レディースに特化したプラットフォーム「NET-A-PORTER」 と「MR PORTER」を提供する。

これより前に、アリババは2017年に「天猫(T-mall)」でビッグデータから選んだ5億人の優良ユーザー向けに、自社のラグジュアリープラットフォーム「Luxury Pavilion」をリリースしており、現在は年間消費額が100万元(約1600万円)を超える上級会員10万人を抱えている。2018年には、ラグジュアリー商品のオンライン卸売プラットフォーム「Ordre」に巨額の出資をしている。

SNSからスタートしたテンセントは、中国国内ラグジュアリー市場に対しては傘下のWeChatを巡って展開している。オンライン上では、モーメンツの広告が、ラグジュアリーブランドが登場する新しい選択肢となっている。WeChatのミニプログラムの後押しもあり、ラグジュアリーブランドのデジタルマーケティングがさらに容易になった。バーバリーは、WeChatのミニプログラムを通じてBシリーズの限定販売を行ったほか、昨年11月にはテンセントと提携して実店舗での「ソーシャルリテール(SNS上での小売り)」を行うことを発表している。

「バイトダンス(字節跳動)」も新鋭企業として遅れをとっていない。

2019年9月3日、バイトダンスとラグジュアリーECである「寺庫(SECOO)」が「奢頭条」計画を発表し、ピンポイントのマーケティング、高度な技術交流、ハイエンドブランドの広告投入とハイエンド消費者層のデータ観察報告などでより踏み込んで協業することを明らかにした。2019年7月時点で、バイトダンス傘下の商品は全世界でDAU(デイリーアクティブユーザー)が7億人を超え、MAU(マンスリーアクティブユーザー)は15億人を超えている。そのうち、TikTokのDAUが3億2000万人を超えている。ECプラットフォームにとって巨大なアクセス数が魅力的であることはいうまでもない。

世界のラグジュアリー販売規模とオンライン販売は共に成長しているが、Farfetchにとって現実は厳しい。

2018年9月にFarfetchが上場したとき、時価総額は一時80億ドル(約8800億円)を突破した。2019年第2四半期の決算を発表した際、売上高は前年比42%増の2億930万ドル(約230億ドル)だったが、純欠損は前年同期の1170万ドル(約12億8000万円)から8960万ドル(約98億円)に膨れ上がっていた。決算発表と同時に、Farfetchは6億7500万ドル(約742億円)でイタリアのファッショングループ「New Guards Group(NGG)」を買収した。この買収が業界と投資家の疑念を招く。Farfetchは未だ黒字化していない一方で、買収したNGGはブランド管理グループのため、同社の進めるEC小売とは直接の関連性がないとするアナリストもいる。

このため、Farfetchの株価は一時40%以上下落した。その後、欠損の縮小で株価はいくぶん持ち直したものの、かつての理想的な状態には遠く及ばない。

中国のラグジュアリー商品の消費能力が高いことは一度ならず証明されてきた。利益を上げることに躍起になっているFarfetchは、挽回を狙って今また行動に打って出ている。

※アイキャッチ画像はFarfetch公式サイトより
(翻訳・lumu)

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